クロウサギ輪禍過去最多

2017年まとめ

2017年 アマミノクロウサギの交通事故被害

意識で未然防止「夜間運転に十分注意を」

 

 世界自然遺産登録を目指す奄美大島と徳之島で、国の特別天然記念物アマミノクロウサギが交通事故に遭い死亡するロードキル(輪禍被害)の発生件数が、2017年は過去最多となったことが判明した。環境省奄美野生生物保護センターのまとめによると発生件数は33件。同センターは、クロウサギなど貴重な生き物の死亡事故は、人間が意識することで減らせ未然に防ぐことができるとし夜間運転の注意などを呼び掛けている。

 同センターに寄せられたクロウサギの交通事故の被害件数の情報では、これまで09年の27件が過去最多(00年以降で)。17年は9月の段階で前年の件数に並び、12月までで合計33件だった。島別の内訳は奄美大島25件と過去最多(これまでは09年の24件)、徳之島8件も最多(16年と同数)となった。

 過去最多の被害件数となったことについて、同センターの木元侑菜自然保護官補佐は「クロウサギの生息数や生息範囲が回復してきていると考えられる。交通量が増えた可能性がある」と推察。クロウサギなどの貴重な生き物の交通事故などが後を絶たないとして、「島で生活する我々人間が注意を払うことで未然に防ぐことや、減らしていくことができる。場所を問わず、夜間の運転には十分注意してほしい」と呼び掛ける。

 またクロウサギなどの貴重な生き物が、ネコに襲われて死亡するケースも頻繁に確認。センターには死亡から時間が経ってしまい原因不明のクロウサギの死亡個体が多く運ばれていて、死体の早期発見と早期連絡が原因究明に役立つとして見つけた際はすぐにセンター(℡0997―55―8620、24時間対応)へ連絡するよう求めている。

 その他にも「野生動物との衝突は運転する人間側も危険になりかねない。クロウサギが林道はもちろん、国道や県道、集落付近に出没する事例も。運転に十分注意し、飼い猫は室内飼育を徹底して」と呼び掛けた。