「今一度、飼い方向き合って」

後半は専門家も加わり意見交換が行われた

ネコの適正飼育啓発 活動発表や意見交換

 

奄美市住用町

 

 奄美市は25日、2017年度ネコの行動圏調査を活用した適正飼育啓発事業「ねこの飼い方を考えよう!!」を同市住用町の住用総合支所3階会議室で開催した。同会は、これまで取り組んだ同事業の活動を発表し、専門家を交えて意見を交換するもの。参加者18人は、ネコの行動範囲などを分析し、今後の適正飼育への対策・可能性を考えた。

 同事業は、ノネコの希少野生生物の捕食が問題化する中、昨年の夏ごろから同町の東城小中学校の児童・生徒を中心に大学生や市職員らがサポートし適正飼育啓発に向けて活動。勉強会やアンケート、行動圏範囲調査に取り組み、ノネコだけでなくノラネコ・飼いネコも含め、飼育方法や希少生物との関係性を探ってきた。

 行動範囲調査では、ノネコに対する調査報告が多数存在することから、北海道大学・豆野皓太さんがノラネコを、帯広畜産大学・藤井さくらさんが飼いネコを同町の各集落で担当。奄美野生動物研究所・塩野﨑和美研究員が同市名瀬の放し飼いネコ・ノラネコを対象に行動範囲などを調査し分析した。

 報告では、同ネコの森林での滞在時間やそれに伴う保護生物への影響を焦点に考察。三氏ともに個体差を考慮しながらも「希少種の生息域への侵入は否定できない」「放し飼いネコ・ノラネコへの対策も希少種保護に非常に重要」と評価。これを踏まえ塩野﨑研究員は、「今一度、ネコの〝飼い方〟にも向き合う必要がある」と訴えた。

 後半は、住用町嘱託員・山田絋一会長、ACN・久野優子代表、ゆいの島動物病院・伊藤圭子院長、塩野﨑研究員の専門家4人に参加者も加わり意見交換。「行動調査はGPSデータだけでなく、飼い主との摺り合わせやフィードバックも必要では」「ネコの視点だけでなく、外来種や野生生物の概念も併せて伝えることが重要」など見解や意見が出された。

 同市民福祉課・井栄一郎主事は総括として「今後も引き続き住民・飼い主への理解を丁寧に促し、お互いの妥協点を探っていきたい」と述べた。

 またこの日は、同校児童・生徒制作の啓発ポスターの発表もあり、5年・宮澤光希くんの「捨てちゃうんだぁ~」が最優秀賞に輝いた。