タンカン収穫期へ

タンカン収穫期へ

2月に入り収穫期となるタンカン。酸切れが遅れており、品質面の注意が求められている(平井果樹園で)

日照不足で酸切れ遅れ
「食味の確認必要」

 奄美大島の果樹農業の柱・タンカンは、2月から収穫期に入る。紅が乗り外観はいいものの、曇天続きの日照不足により酸切れは遅れた状態。収穫にあたっては品質面で果実の中身の仕上がりに注意が必要だ。

 奄美市名瀬の本茶団地や大和村の福元地区など山間部を中心とした果樹園で栽培されているタンカンの生産量をみると、県大島支庁のまとめでは2014年度は1363㌧。1200~1400㌧台で推移している。果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエ緊急防除で2年ぶりの島外出荷となった2016年度産は、前年の早期摘果により着果状態が良好で記録的な豊作に。

 地元市場・名瀬中央青果㈱の取扱をみると、入荷総量は437㌧に達し、初の400㌧超となった。農協共販の方は、JAあまみ大島事業本部まとめで192㌧となった。タンカンは奄美大島が中心産地。同島の今期(17年度産)の生産量は前年比4割減、平年比では2~3割減が見込まれている。同JAの共販取扱目標は100㌧を想定。昨年の夏場の干ばつや10月の台風22号襲来など気象条件の影響のほか、前年の反動により裏年に当たるため。

 生産量だけでなく品質面も気象条件の影響を受けている。JAが1月中旬に行った品質調査では平均糖度10・4度、同クエン酸は1・4%。1月下旬でも1%を切っておらず、酸切れの遅れで糖が伸びていない。

 平井果樹園の平井孝宜さんは「日照不足が影響している。このところ気温が下がっているが、曇天続きでなかなか日差しに恵まれないため光合成が進まず、まだクエン酸は高め。果実の外の状態とは裏腹に中身は十分に仕上がっていない。収穫にあたっては食味により中身の仕上がり具合を確認し、糖と酸のバランスのいいものを収穫して出荷したい」と語る。平井果樹園では収穫開始を例年より遅らせるという。

 なお、JAあまみ大島事業本部は1日午前10時から、龍郷町大勝の内山果樹園で収穫期を告げる「奄美たんかんハサミ入れ式」を行う。