奄美地方北部で「毛嵐」

奄美地方北部で「毛嵐」

9日早朝に見られた「毛嵐」。貴重な晴れ間がもたらした

 

幻想的な光景広がる
最低気温は4度台

 

 澄み切った青空が広がった9日朝、奄美地方北部の内陸側に入り込んだ海などで「毛嵐=けあらし=」が見られた。前夜からの好天で放射冷却が強まったため、最低気温が4度台まで低下したところも。晴天、低温、無風下で海上は蒸気が沸き上がったような幻想的に光景に包まれた。

 毛嵐は、大気の気温が海水や河川などの温度より低くなり、水面から蒸発した水蒸気が大気によって急激に冷やされて発生する蒸気霧の一種とされている。放射冷却が強まった日の早朝などに多く見られ、気温の上昇とともに姿を消す。

 龍郷町役場前の交差点から奄美市笠利町に向かう約300㍍の土手は、リュウキュウマツの松並木がある。「浦の橋立」とも呼ばれているが、前面の海側から沸き立つ毛嵐の蒸気に包まれ、水墨画のような光景が浮かび上がった。

 この日の奄美地方は午前中、晴天となった。冬場特有の曇天続きで日照不足から作物の生育にも支障が出ている中で日差しにより気温が上昇。日中の最高気温が20度近くまで上がるところもあった。ただ、この晴天も長続きせず、午後からは雲が広がった。

 鹿児島地方気象台によると、9日の晴天は高気圧に覆われたため。その後は気圧の谷や湿った空気の影響を受け、きょう10日は低気圧や前線の影響を受けて雨となる見込み。