西表島4割が遺産登録否定的

世界自然遺産
沖縄県住民アンケート「環境保全認識されず」

 奄美と沖縄が登録を目指している世界自然遺産に関して、沖縄県の住民の一部が登録に否定的な意識を持っていることがわかった。アンケートに回答した西表島住民の約4割が遺産登録に否定的で、肯定する回答を上回った。

 これは26日、那覇市で開かれた奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議の中で、沖縄県自然保護課が明らかにした住民アンケート調査結果によるもの。

 同課は昨年9~11月にかけて、沖縄島北部(やんばる地域)と西表島の住民に世界自然遺産登録に関する意識調査を実施。アンケート調査は、▽遺産登録への意識▽遺産登録により期待できること―などの観点で行われた。

 アンケート用紙を全戸配布し回答数は、やんばる地域462件(回収率約9・9%)、西表島252件(同約20・0%)。回答者の属性は、やんばる地域では50代以上が約8割で職業は無職、農業、主婦が多く、西表島は30~60代が各20%ほどで観光ガイドや宿泊業の回答が多く寄せられたという。

 世界自然遺産登録に関して「大変望ましい」、「望ましい」とする回答は、やんばる地域は約63%で西表島が約28%。逆に「望ましくない」、「全く望ましくない」という回答は、やんばる地域が約9%で西表島は約41%に及んだ。

 登録で期待できることとして、自然保護が進むとした回答がやんばる地域約60%以上で、西表島は約20%。観光関連の収益が増えるとする回答は、やんばる地域約53%で西表島は約70%だった。

 同課は西表島の結果を受け、「自然環境の劣化が地域の重要課題とされ、世界自然遺産登録は環境保全につながると認識されておらず期待が薄いのが現状」と分析。遺産登録で観光客が増加することにより、観光施設や生活・交通インフラの不足、住環境の悪化が生じることを懸念する人が多いとした。