世界自然遺産候補地検討会

奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会では世界自然遺産センター(仮称)についての環境省の方針などが示された

拠点施設マングローブパークに
国立公園ビジターセンター機能も
市町村地元「自分たちで作る」気迫を

  2017年度第2回「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会」が30日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。有識者や奄美大島・徳之島の地元首長、県担当者などの関係者が集まり、意見交換などを実施。環境省那覇自然環境事務所の東岡礼治所長は同省の直轄整備方針として、奄美大島の遺産管理の拠点となる「世界自然遺産センター(仮称)」を同市住用町の住用マングローブパーク敷地内に設置する方針を明らかにした。

 同検討会には約30人が出席。世界自然遺産への登録の可否を決める第42回「世界遺産委員会」は6月24日から7月4日の間にバーレーンで行われる。「奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島」の登録は6月29日から1日に審議される可能性があり、県は奄美大島、徳之島、鹿児島市でのパブリックビューイングを予定している。

 東岡所長は同省の取り組みとして18年中に「奄美群島国立公園地域整備計画」の、19年中に「奄美大島地域及び徳之島地域管理運営計画」の策定を予定していることを発表。同省主体の5~10年間の整備方針を明らかにする「国立公園地域整備計画」の途中経過報告として、奄美市住用町のマングローブパーク敷地内へ世界自然遺産センター(仮称)を設置する方針を示した。

 同施設は奄美大島における遺産管理の拠点となるもの。世界自然遺産推薦の根拠となっている、絶滅危惧種などの重要な生息地であることが理解・体感できる展示などの用意を予定している。奄美群島国立公園のビジターセンターとしての機能を持たせるほか、奄美自然保護官事務所の「奄美市事務室」も同施設内に開設するとした。

 候補地選定の理由について東岡所長は「各地の利用拠点へのアクセスが容易な上、既存施設を活用することで、予算以上の整備効果が期待できる」と強調。19年度に構想、計画に着手する方針。施設管理については協議会を設立し、県や地元自治体との連携・分担する方向性を示した。

 同省は徳之島にも同様の施設を設置する方針だが、候補地などは決まっていないという。また、登録区域外への利用客分散を目的とした拠点、登録区域内の影響を抑えながら自然を体感できる拠点施設などの「サブ拠点」も設置を予定しているという。

 意見交換も行われ、座長を務めた大正大学地域構想研究所の小野寺浩教授は「市町村地元が『奄美の自然遺産は自分たちで作る』という気迫を持って進めるべき。自然保護もするが、利便性・経済性も高めていくようなアイデアを持つのが大切。今後も協議の場を持つべき」などと語った。