「つまみ細工」で奄美と都会つなげたい

「つまみ細工」で奄美と都会つなげたい

つまみ細工と材料の一部。左は奄美の泥染めがされた生地と作品

故郷と都会を作品でつなぎたいと話す平田実美さん(右)と愛海さん(左)。実美さんの夫・力(ちから)さんは、シンガーソングライター・平田輝(あきら)さんの兄

笠利出身 平田実美さん・愛海さん
東京ビッグサイトでイベント開催

 【東京】奄美出身の母親とその娘が、日本伝統工芸の一つである「つまみ細工」で、「奄美と都会をつなげていきたい」と精力的に活動している。東京ビックサイトで開催される大きなイベントに向けて彼女たちが奮闘する、横浜市内にある自宅兼工房「Narumy」を訪ねた。

 布を切り取って折り畳み、その組み合わせによって花びらを作り、ブローチなどに変える。鮮やかなアクセサリーを制作しているのは、奄美市笠利町出身の平田実美(なるみ)さんと、その娘・愛海(あいみ)さんだ。もともと手先が器用だった実美さんが、愛海さんの大学の卒業式に合わせ、見よう見まねで髪飾りを作ったところ、「どこで買ったの!」と大評判に。早速アプリを立ち上げ販売すると、たちまち反応があったという。髪飾りのほか、ヘアゴムなど十数種類を手掛けている。本格的に取り組んで2年目だ。

 大学でビジネスを学んだ愛海さんは、「これはブランドとしてやっていける」と直感。母の才能を「さらに広げていこう」と、企画・販売を担当することに。「最近では、最後の仕上げとなる中心の飾りも手伝っているんですよ」とはにかむ。卒業論文は、大島紬などをテーマにした「縁や出会いを紡ぐ、奄美大島カフェ」の事業計画書だった。インターネットを通じ、評判はじわじわと広がり、東京や九州からも「大切な人に贈りたい」と、男性から妻へ、孫娘から祖母への注文が入るように。「作品を喜んでもらえるのが、一番の励み」(実美さん)で「光沢や素材がほかとは違うので丈夫で長持ち」(愛海さん)が特徴だとか。

 「つまみ細工で奄美を知ってもらいたい」。そう笑顔で口をそろえる母と娘の目標は、「東京と故郷をつなぐアンテナショップを作ること」。泥染めの生地を使うなど、奄美の恵みを取り入れている。話をうかがっているさなか、実美さんがピンセットを操り、つまみ細工の花びらを広げた。「母娘による二人三脚の花」は、29日の東京ビックサイト「minneのハンドメイドマーケット2018」(開催は27日から)で、いくつもの大輪となってゲストを迎える。