「オール奄美」にこだわり

秋幾農業創成塾指導のもと、渡酒造の関係者ら約40人が駆け付け苗を植えた

渡酒造・秋幾農業創成塾
新商品の焼酎米を田植え

 「渡酒造㈱」(渡慶彦社長)と「秋幾農業創成塾」(龍宮省三塾長)は15日、龍郷町秋名の水田で新商品の製造に向けた焼酎米生産のための田植えを行った。同社は現在、地域の人・原材料にこだわった「オール奄美」による商品製造を進めており、田植えは今回が2シーズン目。同社はこの冬、収穫した米で新商品のための仕込みに臨む。

 同社はこれまで、島外産の米を原材料として使用してきたが、一昨年に休耕田を持つ同塾・西田栄三郎事務局長から「地元で黒糖焼酎の米を作ってみてはどうか」との打診を受け、昨年から同取り組みをスタート。今年も同塾と委託契約を結び、昨年と同じ計85㌃で栽培し、米1500㌔分の収穫量を見込んでいる。

 この日は、渡社長を始め、同社従業員関係者や同塾メンバーに加え、住用相撲クラブの中学生部員らも助っ人として参加。龍宮塾長ら指導のもと、長靴や素足で水田に入った参加者らは、中腰に姿勢をとり田植えを始めた。

 横一列に並んだ参加者らは、慣れない水田に足を取られながらも懸命に作業。雨がぱらつくあいにくの空模様のなか、目印に沿って等間隔でコシヒカリの苗を植え、秋の収穫を祈った。

 相撲部員で朝日中3年の濱口颯翔=はやと=くんは「中腰はきつかったがいい経験になった。自分の植えた苗が黒糖焼酎になるのは少し驚き」と喜び、龍宮塾長は「人手不足など運営面の苦労はあるが、休耕田が地元企業の役に立てることが出来て幸い」と笑顔を見せた。

 渡社長は新商品について「企業と地域をつなぎたいとの思いもあり『オール奄美』にこだわった」と語り、前回の収穫で仕込んだばかりの焼酎の出来栄えについては「香りや味も含めて上々。3年ほど寝かせて新商品としての出荷を予定しているが、発売の記念にはぜひこのメンバーで祝いたい」と期待を込めた。