間もなく登録左右の勧告

間もなく登録左右の勧告

昨年10月に実施されたIUCNの現地調査(湯湾岳)

IUCN評価注視
委員会審議で変わる場合も

奄美の世界自然遺産登録に関して、今夏の世界遺産委員会で登録の可否が判断されるが、ユネスコの諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)は5月中旬ごろまでに、現地調査などの評価を取りまとめユネスコに勧告を行う。この勧告を踏まえて同委員会で登録の是非が審議されることから、その内容が注視される。

 

環境省などは、世界自然遺産に推薦している「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、IUCNの評価結果の勧告が5月13日までに判明する見込みとしている。評価結果は、「記載」「情報照会」「記載延期」「不記載」の4区分で明示され、ユネスコから日本政府へ通知される。同委員会の決議は、IUCNと同様の4区分で実施される。

「記載」は世界遺産一覧表に記載するとした区分で、過去に世界自然遺産となった北海道の知床や東京都小笠原諸島などがこの勧告を受けている。「情報照会」は、推薦国に追加情報の提出が求められ再審議する勧告となる。

「記載延期」は、推薦書の改定やIUCNの再審査などが必要な区分。「不記載」は、遺産の価値が認められないもの。

この評価結果の勧告で、6月24日から7月4日の中東バーレーンで開催予定の世界遺産委員会で審議され登録の判断が下る。これまで「不記載」の勧告が出された遺産候補が、同委員会の審議で覆った例はないという。「不記載」と決議された場合、再推薦は不可となる。

岩手県の中尊寺金色堂などで構成される「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群―」は、2008年の諮問機関イコモスによる勧告と世界遺産委員会の審議でともに「記載延期」の結果。構成資産を減らすなどして推薦書を再提出して11年に登録を実現した。

日本政府は17年2月、ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出し、同10月にIUCNの専門家が現地調査を実施。世界遺産条約加盟国から選出された代表21国が、世界遺産委員会で勧告をもとに審議を行う。

環境省奄美野生生物保護センターの千葉康人上席自然保護官は、「IUCNは評価結果をユネスコに、世界遺産委員会開催の6週間前までに勧告する。仮に登録が認められるものでも、委員会の審議で内容が覆ることもある。内定とはとらえ難い」とコメントした。