湯湾岳へ続く 県道村道、整備進む

全面開通へ向け整備が進む県道湯湾新村線

観光客の安全な通行期待
宇検村

 国道58号線から宇検村へ向かう県道と、同村から世界自然遺産登録のコアゾーンとされる「湯湾岳」へ続く村道の整備が進んでいる。住民の生活道路や観光客が湯湾岳を訪れる際の安全な通行が期待されており、道路を管理する各担当課は「早期開通目指して、着実に整備を進める」としている。

 同村民の生活道路となっている県道湯湾―新村線は、急カーブ解消などを目的に2010年8月から大畑工区(延長1800㍍)で着工。区間に三つの橋梁を架け、センターラインを敷設した道路などを整備した。17年1月からは崖側の道路から、のり面側への道路へと通行が切り替えられ、より安全通行が可能になった。

 同工区では現在も、片側相互通行が続いている。県大島支庁瀬戸内事務所建設課によると、17年度事業の繰り越し分で舗装工事やガードレールの設置など実施。供用開始を8月1日予定とし、「長らくお待たせしているが、同事業が完了すれば全面開通となる見込み。早期完成に努めていく」としている。

 同村湯湾と大和村大棚を結ぶ村道湯湾―大棚線は、15年6月の大雨による土砂崩れ発生の影響で全面通行止めになった。同村側から湯湾岳へ続く道路は、同村役場近くにもあるが、同村道周辺にはう回路の地図表示がなく、よく島外の観光客が住民などに道を尋ねることがあったという。

 村は同年12月から国の災害復旧事業を活用して、事業費約3億9千万円をかけて土砂の撤去やのり枠を整備し17年3月にいったん通行止めを解除。同年8月の台風5号により、再度崖崩れが発生して舗装も被害を受けたことから、同村道は再び通行止めとなった。

 同村建設課によると、18年1月から災害復旧工事を着工。繰越で対応し、事業は秋頃終了予定としている。

 これとは別に同村道では、急カーブ箇所の改良を目的に測量委託など行い、予備設計を実施。事業は5年計画で、県環境技術協会がアドバイザー立ち会いのもと湯湾岳周辺の自然に対する環境影響調査を行っていた。

 調査の結果は環境省や県自然保護課に通知し、許可などを受けて事業に着手するという。18年度は延長2500㍍の区間で、国立公園の第2種特別保護地区に指定されている地点から開始する予定とした。