徳之島・沖永良部で3匹確認

昨年に続き徳之島、沖永良部島で誘殺が確認されたミカンコミバエ(提供写真)

 

ミカンコミバエ誘殺
トラップ増設、寄主植物調査、誘殺板防除へ
警戒体制強化求める声も

 

 県は6日、果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエが、徳之島および沖永良部島で誘殺により計3匹確認されたと発表した。両島での確認は昨年(沖永良部6月、徳之島で7月)に続いて。定着による発生か、周辺発生国からの飛来による飛び込みか判断できていないが、月2回実施している調査では誘殺なしが続いていたことから飛び込みの可能性がある。国や県などの関係機関は対応マニュアルに基づきトラップ増設など予防のための調査や初動防除を進めていく。

 県農政部食の安全推進課によると、常設された誘殺トラップにより天城町兼久、伊仙町犬田布、和泊町国頭で雄1匹ずつの個体を5日に回収。個体がミカンコミバエか確認する同定作業は門司植物防疫所名瀬支所で行われ、天城町の個体は5日、伊仙町と和泊町の個体は6日に同定確認された。

 確認を受けて6日、現地対策会議を午後1時に徳之島、同3時に沖永良部島で開催。国の対応マニュアルに基づく対応方針を確認した。▽トラップ増設調査=6日から、誘殺確認地点から半径5㌔以内に増設、詳細な発生状況確認。天城町39基(増設22)、伊仙町26基(同11)、和泊町28基(同8)▽寄主植物調査=両島とも7日と20日に半径2㌔以内の寄主植物(グアバ等)を採取し、それぞれ5日間保管後、切開し、幼虫の有無を確認▽誘殺板(テックス板)防除=両島とも8日に、半径1㌔以内にテックス板を約1千枚設置―といった調査・防除に乗り出す。

 トラップを設置してのミカンコミバエ侵入警戒調査は県内400カ所で月2回実施している。同課の本一郎課長は「発生か飛来かは現在調査中で判断できていないが、5月20日までは誘殺が確認されてなかった。今回の誘殺確認を受けて対応マニュアルに基づいて調査や防除を粛々と進めていきたい。寄主植物の提供など地元のみなさんの協力をお願いしたい」と語った。

 農林水産省植物防疫所によると、今年度に入ってからのミカンコミバエ誘殺状況(6月4日現在)は、5月22~28日の週に沖縄県の与那国町で1匹確認されていた。

 JAあまみ大島事業本部果樹部会長の大海昌平さんは「奄美大島では緊急防除が行われたことでタンカンの樹勢が弱まり、生産への影響が3年ほど続いた。長期化するだけに、飛び込み(台風や季節風など風に起因する台湾やフィリピンなど発生国からの)は常にあると認識し、予算や人員配置などを充実して沖縄県並みの侵入警戒体制へ対策を強化してほしい。奄美だけの問題ではなく屋久島、県本土も含めた鹿児島県全体の問題という姿勢で行政は取り組んでもらいたい」と指摘している。

 ミカンコミバエは中国や東南アジア、ハワイなどに生息する体長約7㍉のハエ。果実や野菜に寄生すると実を腐らせたり、落果させたりする。1986年に国内で根絶されたが、奄美大島で2015年6月、徳之島で同年11月に見つかった。