推薦区域見直しで登録可能性

県議会代表質問 不必要な「小規模地域」奄美大島6カ所、徳之島なし
オスプレイ緊急着陸「連続、極めて遺憾」

 6月定例県議会は7日、代表質問があり、自民党の西髙悟議員=志布志市・曽於郡区=、県民連合の柳誠子議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が行った。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録は、IUCN(国際自然保護連合)による登録延期勧告を受けて、政府がユネスコ(国連教育科学文化機関)への推薦取り下げを決定したが、推薦区域を見直すことで登録の可能性が十分にあるとして、再推薦に向けて県は地元市町村などと連携を図りながら国の取り組みに協力していく方針が示された。

 世界自然遺産登録関係の質問は、両議員とも行った。答弁で三反園訓知事は「推薦取り下げに関し国に対して、あらためて確実かつ出来るだけ早期の登録に向けて来年2月1日までの推薦書の再提出をお願いした」と述べ、県としては今回の勧告内容を十分に踏まえ地元市町村等と連携のもと▽遺産としての価値の維持▽自然環境の保全と利用の両立▽地域の機運醸成を図る取り組み―などをより一層推進するとした。

 登録延期勧告の要因については藤本徳昭環境林務部長が答弁。この中では、①推薦地の連続性の観点から沖縄の北部訓練場返還地が推薦地に含まれていない②遺産の価値の証明に不必要な、分断された100㌶未満の小規模な区域が複数含まれている―ことが記載延期勧告の主要因と説明。国においては再推薦に向けて北部訓練場返還地を推薦地に追加するため、今年7月までに返還地をやんばる国立公園に編入するとしていると報告。小規模等分断された区域については、「今後、自然情報を精査しながら一部区域の除外について判断するとしている」と述べた。

 この小規模地域が具体的にどの地域を指すかの質問もあった。藤本部長は「奄美、沖縄の4島の推薦地を構成する24区域について個々の区域でみた場合、その区域自体が世界自然遺産全体の価値を高めることがなく、適切な面積を有していない分断された区域を指している」と説明。IUCN勧告では区域の具体的な場所は明示されていないが、100㌶に満たない区域が例示されており、「環境省によると、そうした区域は固有種の安定した生息には面積が小さすぎると判断されたものと考えられる」と述べた。

 答弁によると、100㌶に満たない区域は奄美大島6カ所、沖縄島北部8カ所、西表島1カ所あり、徳之島にはない。また、勧告では推薦地の私有地の取得について指摘があり、環境省によると私有地が約5割となっている奄美大島を指している可能性があるという。藤本部長は「奄美大島の私有地についてはIUCNに対し、世界自然遺産の価値を維持するため国と県で約3900㌶を公有地化する計画を説明し理解を得ているところであり、その計画を着実に進めることを求めたものと考えている」。県では既に約1300㌶を購入済みで、国も昨年から約5年間かけて2021年度までに約2600㌶を順次購入する計画。

 登録までのスケジュールも説明された。それによると、▽国において今後、IUCNの助言や有識者等の意見を踏まえ速やかに推薦書作成作業を進める▽環境省は来年2月1日までの推薦書の再提出を目指したい意向―などから、それが実現した場合、IUCNによる来年夏から秋ごろの現地調査、2020年春ごろの勧告を経て、同年夏の世界遺産委員会で登録の可否が審議されることになる。

 このほか柳議員が米軍輸送機オスプレイの奄美空港緊急着陸問題を取り上げ、知事自ら国や米軍に情報提供を強く求める姿勢を注文。知事は「米軍機の奄美空港への緊急着陸が連続しており極めて遺憾。安心安全な県民生活に影響を与えかねない事案であることから国に対し、このような事案に対しての情報提供、原因究明、再発防止などの徹底を米軍など関係機関に申し入れるよう、あらためて強く要請した」と述べた。