加計呂麻地区スクールバス出発式

同校のスクールバスとして12日から運行が始まった「青雲号」

保護者・児童生徒の負担軽減に
「青雲号」“まもる君”もデザイン

 「加計呂麻地区スクールバス出発式」が12日、瀬戸内町加計呂麻島の伊子茂小中学校(田中竜太校長、全校児童生徒数14人)であった。スクールバスは「青雲号」と名付けられ、同小中の児童生徒の通学の足として活用される。

 加計呂麻島では今年4月から俵中学校が休校となり、中学校数が減少。伊子茂小中学校には薩川中学校区、俵中学校区、須子茂小学校区の広範囲から児童生徒が通学する状態となっている。こうした状況を受け、町は児童生徒と保護者の負担軽減を図る目的でスクールバス運行を決定。6月1日からは町有車両での仮運行を行っていた。

 バスの定員は運転手を含め14人。車両購入費は約320万円で、2018年度特定離島ふるさとおこし推進事業を活用。現在のところ利用者は小学生2人、中学生2人の計4人。今後、転入があり、利用者は増加する見込み。また、「青雲号」という名前は同校校庭にある“青雲の志”の碑をもとに中学生らが提案したものという。

 運行予定は登校時が午前7時に芝集落を出発し、約1時間かけて実久、嘉入、瀬相を通るルートで運行。下校時は午後4時半に同校を出発し瀬相、嘉入へ向かう便(約25分)と、午後6時に同校を出て、実久、芝へ向かう便(約50分)のルートを予定。今後、児童生徒の状況によりルートの変更も検討するとしている。

 出発式で鎌田愛人町長は「下校時にバスに乗るのを楽しみに、学校生活も楽しんでほしい」とあいさつ。運転手に就くため、奄美市名瀬から同島に住まいを移したという辻原龍一さんは「休校が増える中、スクールバスの存在が『助かる』という声を聴くだけで頑張れる。来年からは子どもたちも転入するので親子ともどもお願いしたい」と語った。

 また、バスには同集落のシンボル「伊子茂まもる君」や、同集落でも見ることのできる動物、集落内にある町指定文化財「西家」の石垣があしらわれている。デザインを担当した同町地域おこし協力隊の才木美貴さんは「観光客にも見て楽しんでほしい。伊子茂のことを少しでも知ってもらえれば」と話した。

 またバスに乗り込んだ実久集落から長時間かけ通学する奥野楓さん(12)は「保護者に楽をさせてあげられるようになった」とうれしそうだった。