自民党奄振特別委

活発な意見交換が行われた奄振特別委員会=千代田区永田町の自民党本部

奄振法延長と改正決議採択
社会資本整備やソフト施策必用

 【東京】自民党政務調査会奄美振興特別委員会(尾辻秀久委員長、金子万寿夫事務局長)は13日、自民党本部で開催され、2018年度末で期限切れとなる奄美振興開発特別振興法(奄振法)の延長と改正に向けた決議を採択。今後、国土交通省や財務省などに要請活動を行うことを了承した。議題の中で現在も奄美空港に駐機中のオスプレイについて、「米軍の占領下にあることをやめよう、命だけは守ってと決議したい」と語った尾辻委員長が、防衛省の資料未提出の対応に不満を漏らす場面も見られた。

 同委員会は冒頭、4月15日から奄美大島・喜界島現地視察を行ったことを報告後、議事協議に移行。議題は①世界自然遺産登録にかかわる経緯②鹿児島・沖縄の製糖業の働き方改革③奄美群島振興開発審議会の検討状況④その他―について各省庁からの説明が行われた。

 環境省からは世界自然遺産登録の延期理由についての説明が行われ、今後の対応として推薦書をいったん取り下げることを6月1日に閣議了解。IUCNの勧告に従い、北部訓練場返還地の追加等を行い、19年2月1日に再提出する予定を報告した。

 また、②について厚生労働省は、人材確保、増員、省力化にかかわる支援を講じ、月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件の適用にかかる準備期間を5年間に延長することなどが報告された。③について国交省は、19年度以降も特別の措置を講じ、奄美群島振興開発を積極的に推進することが必要と説明、鹿児島県は奄美群島が自立的に発展するための社会資本整備やソフト施策が必要で一層の充実した支援措置(法延長)が必要とした。

 今後取り組むべき施策の変更や追加が説明され、改訂「奄美群島成長戦略ビジョン」の取り組み推進が、地域主体の促進として追加された。

 その後の意見交換会では、尾辻委員長が「恨みを言わせてもらえば、環境省副大臣は(世界自然遺産登録)大丈夫と言っていたが、次は同じことが起こらないように」と発言。尾辻委員長の指摘に環境省は、「来年の2月1日に推薦書提出するが、優先してもらえると確信している」と応え、金子事務局長は「地元と一体となった取り組みを」と注文をつけた。

 鹿児島・沖縄両県の製糖業についての働き方改革では、内閣府原案から抜け落ちていたことが判明。記述がなかったことから是正案で気づかなかった厚労省に「軽んじている。骨太の方針には来年度の予算計上があり、当初予算5年で準備できるようにした。なぜ、抜け落ちたか」と厳しい意見に厚労省側は「重く受け止め、最大限の支援をしていく」と応えた。

 委員からの薩摩・琉球・屋久島などがつながったが回遊性の取り組みについての問いかけに、伊集院幼大島郡町村会会長は航路・航空路でアイランドホッピングなどを進め、「ルートづくりをしているところで、道の島めぐりを検討中」と語り、最後のあいさつで謝辞を述べた後、「奄振法は大きく変わりつつある中、国の制度を今後も活用していきたい。ぜひ、ご協力をお願いしたい」と引き続きの支援を要請した。