誘殺止まらず不安も

6月に入ってからミカンコミバエ誘殺が続いている

ミカンコミバエ 新たに徳之島町で雄1匹「全体的な説明の場を」

 県は19日、果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエの雄1匹が誘殺により新たに徳之島町で確認されたと発表した。今月に入ってからの誘殺確認数は計6匹目。誘殺が止まらない状況に果樹生産者などは不安を募らせるとともに、確認地だけでなく全体的な説明会を求める声が出ている。

 県食の安全推進課によると、県内で実施しているミバエ類の侵入警戒調査により、徳之島町尾母で誘殺を確認したもの。トラップによる誘殺確認日は、瀬戸内町加計呂麻島の於斉地区と同じ14日。門司植物防疫所名瀬支所での同定作業による確定日は4日後の18日で、土日をはさんだ関係や台風の影響という。

 確定を受けて19日に国や県、地元による現地対策会議を開催。国の対応マニュアルに基づく対応方針を確認した。初動対応では▽トラップ増設調査=19日から、誘殺地点から半径5㌔以内にトラップ増設、詳細な発生状況確認。トラップ数は徳之島全体で108基(これまでの増設33、今回22)▽寄主植物調査=19日と7月4日に半径2㌔以内の寄主植物(グアバ等)を採取し、それぞれ5日間保管後、幼虫の有無確認―のほか、初動防除で20日に半径1㌔以内に誘殺板(テックス板)を約1千枚設置する。

 奄美でのミカンコミバエ誘殺は、毎月2回行っている調査では5月20日までゼロだったが、6月に入り誘殺が続いている。5日には天城町、伊仙町、和泊町で1匹ずつの計3匹、7日に瀬戸内町阿鉄で1匹、14日に同町於斉と徳之島町尾母で1匹ずつ確認された。徳之島は3町で1匹ずつ確認されたことになる。食の安全推進課の本一郎課長は「6月5日以降誘殺が続いているが、いずれも1匹ずつであり、複数はなく、また産卵する雌の誘殺はない。トラップによるものばかりであり、寄主植物から幼虫も見つかっていない」と説明。こうした状況から発生による定着ではなく、発生地からの飛び込みの可能性がある。

 6月に入り第1週、第2週と誘殺が続いていることを不安視する生産農家もいる。JAあまみ大島事業本部果樹部会長の大海昌平さんは「新聞報道や県のホームページなどにより情報開示され、初動対応などが知らされているものの、農家は直接、関係機関から説明を聞きたいという気持ちがある。誘殺が確認された地域では住民説明会が行われているようだが、JAの生産部会など組織的な説明の場を設けてほしい。寄主植物の提供など協力要請への対応も部会として乗り出した方が効率的で全体の関心も高まる」と要望する。

 なお、複数の箇所で誘殺が確認された瀬戸内町では21日午前11日から瀬戸内きゅら島交流館(旧中央公民館跡地)で住民説明会が開かれる。JAの果樹・野菜部会の生産者の参加を呼び掛けており、関係する生産者が直接、説明を聞くことができる。