飛行訓練中止意見書を否決

飛行訓練中止意見書を否決

奄美空港に緊急着陸した米軍輸送機オスプレイ(6月7日撮影)

奄美大島上空オスプレイ 県議会、賛成少数で

 6月定例県議会は22日、最終本会議があり、奄美大島上空でオスプレイの飛行訓練の中止を求める意見書案は賛成少数で否決された。同様の意見書は奄美市議会(今年3月)と大和村議会(同6月)では全会一致で可決したものの、県議会として国の調査や米軍への文書提出を求める提案は届かなかった。

 同意見書案は、県民連合と共産党県議団が提案したもの。提案理由説明で県民連合の向井尊麿議員は「6月4日にはCV22オスプレイ(米軍嘉手納基地所属)2機が奄美空港に緊急着陸し、1機がいまだに同空港にとどまっている。奄美空港への緊急着陸は昨年6月、今年4月に次いで3回目。緊急着陸とは、航空機が目的の空港に到達することができない可能性のあるアクシデントが生じたことを意味する。奄美空港に3週間近く駐機しているCV22オスプレイは、よほど重大なアクシデントが発生したものと推測できる」と述べ、▽国において米軍輸送機オスプレイの飛行実態について調査▽県民を危険にさらすオスプレイの奄美大島上空での訓練中止を米側に要請―を求め県議会としての文書提出を提案した。

 提案理由の説明後、討論に入り、共産党の松崎真琴議員が賛成の立場で「奄美大島上空で目撃されているオスプレイの低空飛行は住民に大きな不安を与えている。なぜ米軍は地元自治体や住民に何も知らせずに低空飛行訓練を行うのか。奄美市議会や大和村議会のように本議会でも奄美の住民の思いに応え、県民の安心安全を守るために力を尽くすべき」と訴えた。

 反対討論はなく意見書案の採決へ。賛成の起立は少数で否決となった。意見書案に賛成しなかった県議の一人は「奄美大島上空でのオスプレイの低空飛行の頻度など把握できていない部分がある。また、緊急着陸も人道的には致し方ない部分もあるのではないか。防衛は国の専管事項だけに、踏み込んだ対応は難しい」と語った。また、自民党県連幹事長でもある永井章義議員は「国防上の問題から意見書採択には至らなかったが、6月4日の緊急着陸に関しては極めて遺憾なことであり、安心安全な県民生活に影響を与えかねない事案にあたることから、九州防衛局を通して国に対し情報提供、原因究明、再発防止の徹底を米軍など関係機関に申し入れるよう要請している。引き続き重大な関心を持って要請していきたい」と語った。

 最終本会議では、約2億7千万円の補正予算案など12の議案を可決。補正予算には、鹿児島市南部に建設する意向を示している特別支援学校の基本構想を策定する検討委員会を設置するための費用や、硫黄山噴火後に稲作を中止した農家への支援策などを盛り込んでいる。