全国から約600人参加 子育て支援考えるシンポ

子育て支援に意見を交わしたシンポジウム

支援ネットワーク重要
パネリスト、保育のあり方提言

 第32回「保育を高める研究集会in奄美」のシンポジムが28日、奄美市名瀬長浜町の奄美文化センターであった。「子育て支援について考える」をテーマに研究者や保育施設関係者が子どもの保育のあり方について意見を交わした。

 主催は社会福祉法人日本保育協会、社会福祉法人県保育連合会(日本保育協会鹿児島県支部)、日本保育協会女性部。保育者の資質や地域の保育力の向上につなげようと各地で研修会を企画。奄美では初開催となった。

 全国各地の保育施設の代表や職員など関係者約600人が参加した奄美会場は27・28日の2日間開催。メインのシンポジウムは「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんをコーディネーター役にパネルディスカッションを開き、パネリスト3人が登壇した。

 地元からは春日保育園園長の白濱律子さんが、社会福祉法人聖隷福祉事業団が運営する療育施設や児童発達支援センター施設の取り組みを紹介。親子教室の開催を通じた保護者との信頼関係を強調し、▽職員が団結したチーム力▽保護者と対話する心構え▽相手(子ども、保護者)のペースに合わせた寄り添い―など提言した。

 小西祐馬長崎大学准教授は子どもの貧困問題に触れ、保護者の家庭環境や経済事情など複合的な困難さを指摘。「社会的要因の解決が貧困の連鎖を断ち切り、保育の向上につながる」と述べ、周囲と連携した支援ネットワークの重要性を挙げた。

 また兵庫県神戸市の発達障害ピアカウンセラーの笹森理絵さんは、自身が発達障がいと診断され、発達障がいがある3人の子どもを持つ自身の経験を踏まえながら、「子どもを幸せな大人になってもらいたい気持ちは保護者も施設側も同じ。温かく見守る気持ちを周囲が持ってほしい」と当事者の立場から呼びかけ。普光院さんは「子どもの最善の利益をみんなで考えていく社会を構築していくことが今後求められる」と結んだ。

 そのほか、日本保育協会常務理事の村上春彦さんによる活動報告もあった。