ネパール福祉施設に義援金

義援金を渡す旅の打ち合わせをした左から、雪山さん、甘味さん、サントシさん、重久さん、新保さん。手前が大吉さん


施設の関係者たちと記念写真に収まるメンバーら(提供写真)

徳之島出身者の飲食店の常連客ら5人訪問

 【東京】「ネパールの赤ちゃんにミルクを」――。徳之島出身の主人が自慢の腕を振るう恵比寿の居酒屋「大吉」の看板娘と、常連らが5月の大型連休を利用してカトマンズの福祉施設に義援金を手渡すため、ネパールを訪れた。島の絆が恵まれない人のサポーターになったが、その報告会がこのほど同店で行われた。

 旅に参加したのは、徳之島出身の雪山渥美さんと重久正光さん、沖永良部出身の甘味けんじさん、店の常連・新保久美子さん。そして看板娘のKCサントシさんの5人。サントシさんがインターネットを通じて、故郷の福祉施設の惨状を知り、店主の大吉平造さんと一緒に取り組んだ募金を直接渡すことが目的。5月2日に成田から香港経由でカトマンズに到着した一行は、サントシさんの家族と合流。ルンビニ、ポカラを巡ってカトマンズの福祉施設を目指した。

 だが、「信号もない悪路、正真正銘の崖っぷち」(甘味さん)を「車は搭載されたスピーカーから、大音量を出しながら爆走」(重久さん)し、「食事の時にビールを頼んだら30分もかかった。ほかの店に買いに行っていた」(雪山さん)、「男性の方は何とか済ませていましたが、トイレがなくて本当に困りました」(新保さん)と驚きの連続。一方、「ガソリンスタンドでは(甘味)けんちゃんの踊りに、地元の人たちが加わり踊りだすなど文化交流もできました」(新保さん)。

 約1500㌔を車で移動、悪戦苦闘の末、カトマンズの福祉施設へ到着。責任者の女性に笑顔で迎えられた。

 彼女は、路上で衰弱している人を見過ごせないと国からの援助もない中、親の反対を押し切って心ある人たちの支援で施設を運営している。道端に生み捨てられていた赤ちゃん4人を含む子どもから大人まで28人が、やっと人間らしい生活を取り戻せるかけがえのないオアシスだ。

 「今日赤ちゃんに飲ませるミルクが買えずに困っていた。本当にありがとう」と泣きながら感謝の気持ちを伝えられた。エベレストの麓で繰り広げられる厳しい現実を目の当たりにして、一行はもらい泣きしてしまった。

 その後、「香港の空港で雪山さんが一時行方不明になった」などの珍道中を重ねながらも、7日に無事帰国。「次はもっと役に立ちたい」と報告会では、新たな旅をイメージしている。サントシさんは来日して6年目の23歳。「少しでも私の国を知ってもらえ、感謝の気持ちでいっぱいです」と語っている。