空き屋問題解決へ学生が実態調査

空き屋問題解決へ学生が実態調査

古仁屋市街地の空き屋を調査する学生

古仁屋市街地、今後全集落へ
行政と大学、協働事業の一環

 瀬戸内町と県大島支庁瀬戸内事務所が2017年度から協働実施している「チームせとうち“我が事・丸ごと”支え愛事業」の一環で5日、福山市立大学(広島県福山市)の学生が奄美大島に来島し、同町古仁屋市街地で空き家実態調査を行った。学生らは今後、町内全集落での調査(約3千件)を予定。地元行政は深刻化する空き家問題の解消に向け、調査データを活用し今後の対応策を検討していく考え。

 地域の「空き屋・空き店舗・危険家屋」問題を重視する同町は現在、地元商工会など民間団体と連携して対策に取り組む。所有者の特定と意向確認を経て、対象物件のリフォームやリセール、解体を図り、将来を見据えた街づくりを促進したい意向だ。

 県と町、同大学はチームせとうち支え愛事業の中で基礎データ調査の協働作業を進める中、同大学は2日間、町内住環境の実態把握を目的に「空きキャパシティ調査」を計画した。

 5日は古仁屋市街地で調査を実施。同大学都市経営学部都市経営学科の学生9人ほか、同日奄美入りした鹿児島大学大学院工学研究科のゼミ生とともに建物外観や敷地内、周辺状況などを確認した。

 街角の物件を前に学生は、戸建ての窓や外壁の破損度合い、敷地内の雑草の繁茂状態などをチェックし、調査シートに記入。1時間約10件ペースで調査を行った。6日は加計呂麻島島内で約30集落170~180件を予定している。

 同大学都市経営学部都市経営学科講師の根本修平さんは「学生には都市景観の実態を踏まえながら現地データ収集に努めてほしい」。同大学3年の田中亮光さんは「奄美は初めて。都市計画のあり方を考えるきっかけにしたい」と意欲を見せた。

 同町企画課は60年前に発生した市街地の大火で町並みが再構築した経緯を説明。鎌田愛人町長は老朽化や危険家屋数の増加を指摘した上で、「(調査は)町民の安全・安心な生活につながり、新たなまちづくりの基礎となる」と意義を述べ、今後の活動に期待感を示した。

 同大学は9日まで滞在し、阿木名集落でのワークショップ、調査報告などを行う予定。