新たな担い手へ第一歩

新たな担い手へ第一歩

産地の伝統技術継承に向けて誓いを新たにした生徒たち

大島紬技術専門学院 開校式に10人

大島紬の織工を養成する「本場奄美大島紬技術専門学院」の開校式が11日、奄美市名瀬の旧県工業技術センターで開かれた。今年度は、県外の3人を含む20代から60代の男女10人(1人欠席、1人代理出席)が晴れの日を迎えた。生徒らは産地の伝統技術継承に向けての研さんを誓い、新たな担い手としての第一歩を踏み出した。

同学院は、大島紬の反物を作る工程である機織りの後継者育成を目的に1980年に開校。本場奄美大島紬協同組合が運営し、これまで440人が同学院を卒業している。

期間は、来年3月までの9カ月間で、最長2年まで在籍が可能。目標は、縦の絣=かすり=糸の本数が576本の「7マルキ」の織りを掲げる。

また、運営を支援する一般財団法人きものの森・矢嶋孝敏理事長は、今後の方針として新たな学院運営を計画しており、今回の開校を「学院の新たな一歩」と位置づけ。今後の計画として▽新たな科の新設▽手織り・手染め産地の後継者育成モデル事業としての確立▽60歳以上が働く高齢者事業―などを目指し、組織・継承の強化を図っていく。

この日の式では、入校生を前に前田豊成理事長が「真摯に学び切磋琢磨することで、立派な機織りになることを期待している」とエール。松本俊一大島支庁長(代読)や朝山毅奄美市長(代読)、竹田泰典龍郷町長らも祝いの言葉を送った。

壇上に立った前田理事長は、引きしまった表情の生徒一人ひとりに入校証を授与。生徒らは証書を受け取り、産地技術の継承に向けて気持ちを新たにした。

12年に奄美に移住したという千葉県松戸市出身の川島ゆたかさん(40)は「好きで世界の織物を見てきたが大島紬が一番正確で美しい。図案などにも挑戦したいが、とにかく一反をしっかり織り上げたい」と抱負。家族三代に渡る技術者を目指す山下明希=みき=さん(19)は「父や祖父の影響もあり興味が強かった。お客さまを笑顔にできる織工を目指したい」と笑顔で話した。