西郷隆盛の玄孫と大河ドラマ方言指導者トーク会

和服姿で涼を感じながらの対談に

西郷隆盛の玄孫の津田直さん

大河ドラマ「西郷どん」の薩摩言葉指導の俳優・田上晃吉さん

菊次郎とつながり
奄美にも興味抱く

 【東京】東京で大島紬と奄美を広めることに尽力している銀座もとじの「和織」で15日、西郷隆盛の玄孫で写真家の津田直さんと、NHK大河ドラマ「西郷どん」の薩摩言葉の指導者として活躍中の俳優の田上晃吉さんによるトーク会が開かれ、奄美と西郷隆盛を知ろうとする人たちでにぎわった。

 この日も猛暑となった東京だったが、夏着物に身を包んだ着物好きな人たちが集い、コメンテーターの二人も着物姿とあって、会場は涼しげに。隆盛の玄孫の津田さんは、一般に知られていない隆盛の素の顔を紹介した。

 それによると隆盛と糸子の子どもの寅太郎、その六番目の息子の隆明さんが津田さんの祖父にあたる。津田さんの祖父と、隆盛と愛加那の息子である菊次郎を囲むように寅太郎の子どもたちが写っている写真が映し出されると、来場者らは、身を乗り出して見入った。

 寅太郎は若くして亡くなり、菊次郎が父親、兄弟のように、寅太郎の子どもたちに接し、直さんの祖父も、菊次郎に可愛がられていたと聞いていたという。

 隆盛に深くかかわった人として、赤山靱負(ゆきえ)の弟の桂久武を紹介。桂と隆盛との友情を通して、奄美での暮らし、西南戦争の戦いで命を散らした、彼らの生きかたをたどり、あまり知られることのない隆盛の横顔に迫った。

 田上さんからはドラマ撮影の裏話や方言指導の苦労話とロケ現場のスナップ写真が紹介された。田んぼが広がり、その向こうに桜島が見える写真はロケがスタートした場所で、感慨深い一枚。奄美の青い海の写真もあり「とてもきれいだった」と紹介した。

 奄美と沖永良部での3週間にわたるロケでは、地元の協力体制が半端なかったという。天候には恵まれず、「これを体験することで、自然の驚異を感じさせてくれているのではないか」と、「西郷どん」の主役を演じる、鈴木亮平さんとも話したという。

 話は島唄にも及んだ。「丘の上で泣いていたといわれる愛加那だけれど、風の強い丘に登り、鹿児島の隆盛へ語り掛けていたのではないだろうか」と結んだ。

 この場でしか味わえない時間に来場者らは、ドラマの「西郷どん」と西郷隆盛を身近に感じ、また、奄美にも興味を抱いていた。