国産ウナギ値上がり影響

スーパーでウナギを買い求める買い物客=いずみストア=


土用丑の日に向け仕込み作業に追われる専門店=三昌亭=

「土用丑の日」 スーパー・専門店 品ぞろえ工夫、やむなく値上げ

  20日は「土用丑の日」で、この日は年に数回ある。なかでも一番ウナギが多くの人に食べられているのは、この暑さも厳しくなる盛夏の時期だ。今年は20日と8月1日が該当する。国産ウナギの値上がりで、ウナギ専門店は値上げしスーパーは仕入れに影響も。前日、ウナギ専門店は終日仕込みに追われ、スーパーでは手ごろなウナギを求める人の姿が見られた。

 奄美市名瀬有屋町のいずみストア(泉浩二代表取締役)は、「土用丑の日」に合わせて6月の4倍以上の量となるウナギを入荷。ただシラスウナギの不漁で国産ウナギの高騰が続き仕入れ値が2割増しになったことから、昨年の土用丑の日に向けた仕入れ量の3分の2しか入荷できなかったという。同店は中国産も高騰していて思ったように値引きできず。

 泉代表は、「できるだけ安くウナギを提供したいので、サイズは手ごろな物を中心に品ぞろえした」と説明。「昨年の土用丑の日には国産ウナギが良く出ていたが、今年は値段も上がったことから売れ行きが読めない」と話した。

 来店して中国産ウナギを購入した同市名瀬浦上町の森三木郎さん(48)は、「暑い日が続いていて土用丑の日ということもあり、ウナギを買いに来た。国産が高いので中国産にした」と話した。

 同市名瀬柳町のウナギ料理専門店「三昌亭」(松下一人士代表)は、土用丑の日に向け国産ウナギ500匹を仕入れ。通常仕込み量の約5倍に相当する量で、この日は朝7時からウナギをさばいて串を打ち、炭火で白焼きにする準備作業に追われた。

 20日は平常時の倍になる約10人で、注文を受け仕上げ接客など行う。大量の注文に対応するために、炭焼き場を増設してかば焼きなどを作るという。

 松下代表は、「永年値上げせず企業努力で頑張ってきたが、今年4月やむを得ず3割の値上げを実施した」と説明。1880(明治13)年創業になる老舗の4代目オーナーとして松下さんは、「国産ウナギを炭火で調理するのが店の伝統。値上げしたが土用丑の日は、多くの人がウナギを求める日。忙しい日だが、伝統の味を多くの人に味わってもらえれば」と語った。

 ウナギはビタミンA、B1、B2、D、Eのほか、カルシウムや鉄分、亜鉛や脂質(DHA、EPA)、コラーゲンなど、夏バテ予防に必要な栄養素が豊富に含まれている。特にビタミンAは、100㌘食べると成人の一日に必要な摂取量に達する。