「移民交流大切にしたい」

「移民交流大切にしたい」

ブラジル鹿児島県人会創立105周年記念式典に参加した宇検村の元田村長(中)、喜島議長(左)、村野教育長(右)(提供写真)


出身者と日本の歌やシマ唄、六調などで交流した(提供写真)

宇検村から訪問団 ブラジル移民100周年祝福

 今年は鹿児島出身のブラジル移民が立ち上げたブラジル鹿児島県人会の創立105周年と、宇検村からの移民100周年にあたることから同村は、19日から26日にかけてブラジルに訪問団(団長・元田信有村長)を派遣。一行は現地の記念式典や懇親会に参加し、100周年を祝し出身者やその子孫などと交流を深めた。

 『宇検村誌』によると、同村からのブラジル移民は1918(大正7)年に、讃岐丸に乗ってブラジルに渡航した13家族54人が最初となる。戦後も交流が続いており、93年の移住75周年記念式典、99年の移住80周年記念式典に同村から訪問団が参加。2010年の奄美豪雨災害に際しては、ブラジル在住の出身者が世話人となり義援金50万7千円が贈られている。

 今年3月にブラジル鹿児島県人会が同村を表敬訪問し、ブラジルで開催する記念式典への参加を依頼。移民100周年を祝うなどの目的で参加を決定し、元田村長、喜島孝行議長、村野巳代治教育長、総務企画課の渡博文課長と内田健治さん計5人が訪問することになった。

 なお現在のブラジル鹿児島県人会の副会長は、文岡セルジオ正樹さん。正樹さんの父親は同村生勝、母親は同村湯湾の出身で、これまで同村を2度訪問している。

 一行は羽田空港とドイツ・フランクフルト空港などを経由し、21日にブラジルサンパウロに到着。22日は、午前中から県人会創立105周年記念式典に参加。夕方からは場所を変えて、宇検村出身者などを招いた懇親会に加わり日本の歌や奄美のシマ唄などを唄い、最後は六調を踊り親睦を深めた。

 23日は、サンパウロ近辺の出身者の農園などを訪問。昼食会場のバルジェン・グランデ市のブッフェ奄美には出身者など約60人が集合。出身者に聞き取りして、最初の移民13家族のうち3人ほどの足取りが判明したという。元田村長は「出身者や2世、3世の人たちの活躍が見られてうれしい」などとあいさつした。

 一行は24日、ブラジル日本移民史料館を視察。ガイドから日本移民の歴史などの説明を受けたという。

 ブラジル訪問を終えて元田村長は、「サンパウロは標高800㍍と高く坂の多い街だが、気候は温暖で奄美に似た印象。100周年記念の年に訪問でき、感慨深い」と述懐。「2世、3世など多くの人の盛大な歓迎を受けて感激した。ルーツの奄美や宇検村を大事にしていると感じた」「グローバルな時代で、行き来しやすくなり情報伝達もSNSでやりとりが簡易になってきている。移民の歴史や宇検村と移民の交流などを、次世代にどう引き継いでいくか。今後も人と人のつながりを大切に交流していきたい」と語った。

 また元田村長は、これまでの交流の様子の写真などを展示する「ブラジル展」を、来月から同村湯湾の元気の出る館で開催したい意向を示した。