夜明け前の空に赤い双光

午前2時56分、満月 ②午前3時半、皆既月食の始まりから6分後 ③午前3時40分 ④午前3時50分 ⑤午前4時3分 ⑥午前4時36分 皆既食の最大


午前4時2分の皆既月食と火星

皆既月食と火星を撮影

 28日未明、晴れ間の広がった九州や沖縄では今年2度目の皆既月食が観測された。奄美大島は曇り気味で時折雨が降る天候だったが、雲間より満月の状態から欠けていく様子や現在接近中の火星も観測された。夜明け前の空に、火星と皆既月食の赤い二つの光点が輝いた。奄美市名瀬の西康範さんは、大和村で、午前2時56分ごろの満月から同4時36分の皆既食の最大までを撮影した。

 国立天文台によると、地球や月は太陽の光を反射して輝く天体。地球や月にも太陽の光による影があり、地球の影の中を月が通過することによって月が暗くなったり、欠けたように見える現象が「月食」と呼ばれるもの。皆既月食で月が赤く見えるのは大気中のチリが原因。チリが少ないと、大気を通り抜ける光の量が多いため明るいオレンジ色になるが、チリが多いと光の量が少なくなるため黒っぽく見えるようになる。

 前回の皆既月食は今年1月31日に起き、全国各地で観測された。次回、日本で見られる皆既月食は3年後の2021年5月26日。西さんは「雲が厚くて撮影をあきらめかけていたが、一瞬雲間から見られたので挑戦した。思ったより高い所に月があった。何とか皆既食まで撮影できたが、最後は雨が降り出し中止した」と振り返った。

 今回は15年ぶりに最接近している火星も、皆既月食と同時に観測できたという。地球との距離が6000万㌔を切り、31日には約5759万㌔まで接近。明るさは今年初めに比べて50倍超の明るさで赤く輝いていて、肉眼でもはっきりと確認できるそう。