高齢者の食事介助法指導

「食事ケアエキスパート研修」があり、高齢者の食事介助のアフターケアなどについての指導があった

「五感使う全身運動」
食事ケア研修 メニュー紹介、口体操も

 大分県のNPO法人「摂食コミュニケーション・ネットワーク(中島知夏子理事長)」は29日、奄美市名瀬の住宅型有料老人ホーム・ハピネス浦上で介護福祉施設職員などを対象とした食事ケアエキスパート研修を開いた。中島理事長自らが登壇し、高齢者の食事介助を行う際に気を付けるべきこと、姿勢や方法などについて説いた。

 同NPOは障がい者や高齢者の摂食指導の普及に取り組んでいる団体。中島理事長は「食事は五感を使う全身運動。口から食べることはQOL(生活の質)を向上させる基盤になる」とし、全国で摂食指導に関する研修などを実施している。28日には同会場で障がい児、障がい者に関する「摂食指導者育成研修」も行い、島内外の関係者16人が参加した。

 この日は介護福祉施設職員など25人が参加。食事前の観察から食後のケアまで食事介助全般にわたることを細かく講話。中島理事長は食事中に歌詞のない音楽をかけることで、「明るく、ゆっくりと介助することができる」とアドバイス。このとき音楽に歌詞があると高齢者が口ずさんでしまい誤えんにつながる可能性があるという。また、「喉仏を見て、飲み込んだことを確認してから次のひと口にいくこと」などと指導した。

 このほかにも誤えん性肺炎を防ぐために食べ物にとろみをつけることや、食前に行う口の体操などを紹介。体操は参加者も映像を見ながら実践した。口角を上げる「ウイスキー」や、口形をはっきりと動かす「ポリバケツ」などをゆっくりと発音し、口や舌がどのように動くかを確認した。

 研修終了後、中村理事長は「1日3食で計算しても1年間で1095食食べることとなる。その食事の向こう側には一緒に食べる人がいるので、食事介助を大切にしてほしい」と呼び掛けた。

 受講した女性は「自分が今までしていた方法と違うところもあり、勉強になった。明日から早速実践していこうと思う」と話した。