地下ダム探検隊

島の生き物などを学ぶ子ども達=知名町=

環境配慮で建設理解
沖永良部農業水利事業所「島の水や自然大切にして」

 【沖永良部】建設中の地下ダムと建設現場に生息する生き物について学ぶ「地下ダム探検隊」(九州農政局沖永良部農業水利事業所主催)が8日、知名町余多字の下田橋であった。児童や保護者ら約40人が参加し、島の固有種のカタツムリや魚について理解を深めた。

 下田橋の下を通る余多川は、地下ダムの止水壁が横切った場所で、工事期間中は川の水を迂回させる「かりまわし水路」を作り、川の環境保全に努めながら工事を進めてきた。現在は、もとの余多川に川の流れは戻っている。

 地下ダムについての講話では、事業所の職員が余多川で行われた工事手法を説明。「川に水を戻す前に、岩や木を設置して生き物がすみやすくした」と話し、2010年から毎年実施している絶滅危惧種の淡水魚「キバラヨシノボリ」の生息調査の結果を示した。

 講師として招かれた沖永良部の陸産貝類に詳しい宗武彦さん(和泊町在住)は、島の固有種「エラブマイマイ」などを紹介。標本や実物を子ども達に見せながら「カタツムリは環境の変化に敏感。大きな工事が行われる時に、自然環境が守られているかどうかの指標になる」と述べた。

 このほか、島を作っている石灰岩と基盤岩が水を通すか確かめる実験も行われた。

 和泊小6年の森田聖人さん(11)は「沖永良部島に特別なカタツムリがいることに驚いた。島の自然を守るために自分も協力したいと思った」。同小6年の林大陽さん(11)は「島には多くの魚がすんでいることや石灰岩が水を通すことを知った」と話した。

 九州農政局沖永良部農業水利事業所の馬場範雪所長は「地下ダムと島の環境についてわかってくれたと思う。子ども達が、島の水や自然を大切にしていってほしい」と語った。