来年2月再推薦へ連携

来年2月再推薦へ連携

世界自然遺産登録の再推薦に向け奄美大島行動計画などについて意見が交わされた

奄美大島行動計画の進捗状況確認
世界自然遺産関係会議

 県自然保護課は30日、奄美市名瀬の大島支庁会議室で「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議奄美大島部会」と「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会奄美大島自然利用部会」を開いた。IUCN(国際自然保護連合)の勧告への対応方針や、奄美大島行動計画の進捗=しんちょく=状況などについて協議。来年2月の推薦書の再提出を目指すスケジュールを確認し、関係機関や市町村連携で取り組むとした。31日には、天城町で徳之島部会が開かれる。

 開会で県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長があいさつ。「IUCNの勧告は、候補地の自然の価値は否定しなかった。来年2月の再推薦に向け、市町村などと連携して課題に取り組んでいく」と話した。

 IUCN勧告やそれへの対応方針、今後のスケジュールなどについて環境省奄美野生生物保護センターの千葉康人上席自然保護官が配布資料をもとに説明。IUCNが延期を勧告した主な理由は、▽推薦地が連続性に欠け、遺産の価値の証明に不必要な分断された小規模な区域が複数含まれている▽沖縄の北部訓練場返還地が重要な位置づけにあるが推薦地に含まれていない―などと指摘した。

 今後のスケジュールに関し、「来年からは1国から世界遺産候補に推薦できるのは、自然か文化のどちらか一つの案件になる」ことを紹介。対応方針では、推薦区域の修正では200㌶以下の区域の連続性確保の可能性を精査。ナイトツアーで人気となってきているスタルマタ線でも、金作原のように利用適正化に向けた検討を行うことなどが盛り込まれた。

 奄美大島行動計画について、県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の栗栖隆典主幹が、進捗状況や課題などを解説。外来種による影響の排除について、「7月から始まったノネコの捕獲事業や、5市町村や民間団体が行うノラネコTNR事業の実施状況から、捕獲効率の向上や適正飼養の啓発が課題」とされた。

 その他では「TNRに関する情報はどこがまとめるのか」や、「国立公園内の特別地域の規制区分が容易に確認できる手段がないか」などの質問が出された。

 会議終了後に報道陣の取材に対して大西室長は、「会議で様々な意見をいただいた。地域の自然団体、観光団体などと協力連携して、再推薦に向け取り組んでいきたい」と語った。