伊仙町「サテライトオフィス」第1号開所

伊仙町サテライトオフィス第1号、㈱モスク・クリエイションオフィスの開所式(右から2人目・近藤社長)=1日、伊仙町

「徳之島に不思議な可能性」
総務省モデル事業 首都圏5社が希望

 【徳之島】伊仙町が総務省の2017年度「お試しサテライトオフィスモデル事業」で誘致した首都圏企業の同オフィス第1号、ウェブサイト企画構築などグラフィックデザイン関連の㈱モスク・クリエイション(本社・TOKYOベース・東京都港区赤坂、近藤恵一代表取締役社長)の「伊仙町オフィス(徳之島ベース)」開所式が1日、同町であった。近藤社長は「クリエイティブ企業は直感が大切。この島と町には不思議な可能性を感じる」とも動機を語った。

 総務省の同モデル事業は、3大都市圏内に本社所在の民間企業らの遠隔勤務ベース「サテライトオフィス」に対するニーズを探り、地域特性を生かした誘致戦略の策定支援などが目的。伊仙町は全国8自治体の1つとして「長寿と子宝のまちでサテライトオフィス事業」が採択。雇用の確保、地元との新たなビジネス創出にも期待して進めた。

 町未来創生課によると、同町喜念浜のコテージ(町立)を兼住居に整備してサテライトオフィス設置に前向きな首都圏の企業に「お試しオフィスワーク」の場に提供。島の生活も体験させて企業側ニーズを把握して誘致戦略を策定。その結果、同モデル事業に参加した計22社のうち5社が「ぜひ開設したい」などと回答。㈱モスク・クリエイション社はその第1号。

 同社「伊仙町オフィス(徳之島ベース)」の設置場所は同町西伊仙東集落内。UIターン者受け入れの人口対策で町が改修した空き家を利活用。当面は同社の社員1人が常駐、3町自治体を含めウェブサイトやパンフレット作成など営業活動。地元雇用にもつなげていく方針だ。

 開所式で、近藤社長(52)は「私たちクリエイティブな企業は直感が非常に大切。私は、この島と町には何か不思議な可能性を非常に感じる。町の皆さんと一緒に考えて悩み、喜びを分かち合う気持ちで根付きたい。東京(ベース)、静岡(同)、この徳之島ベースとの3拠点を結びつけ、島の発展とPRをしっかりとやって、人も雇用して継続していきたい」。

 大久保明町長は開設に感謝を述べ「(徳之島は)大海の孤島だが、世界に視野を広げられる位置にあると思う。過去の経験に基づく直感の発露は大事。厳しい人口減少時代、辺地にあってもインタネット活用で人口対策の相乗効果も広がると思う」など期待。近藤社長や大久保明町長、町議会議長、集落区長ら関係者代表がテープカットして祝った。

 同課によると、年内には第2号も予定。今後は町単独で同事業を継続してニーズを調査し、町内にコワーキングスペース・シェアオフィスなどの整備も検討する方針だ。