「島の模範となり紹介を」

講演した千葉保護官と伊藤院長

ネコ問題現状、国立公園規制講演
エコツアーガイド連協研修会

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会(喜島浩介会長)は6日、奄美市名瀬の奄美会館会議室で自主研修会を開いた。講師から奄美大島のネコ問題の現状や、国立公園の規制などの講演があり見識を深め、「島の模範として観光客に紹介してもらいたい」などの要望が行われた。

 同研修会に同会から会員20人が参加。講師を、ゆいの島どうぶつ病院の伊藤圭子院長と環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官が担当。

 伊藤院長は、奄美大島を取り巻くネコ環境についてレジュメで解説。今年3月に策定された「ノネコ管理計画」の要約と、ノネコの捕獲事業などに対する意見を紹介して、やや批判的な意見には反論を行った。

 ネコ問題に対する批判に対して、「ノネコ捕獲事業は、生態系保全のために取り組んでいて、世界自然遺産登録は後付けの目的」「『安易な殺処分』『殺処分をしたい島』と言われることがあるが、まず譲渡推進がありき」と説明。過剰にあおり感情に走ったうえでの5万人の反対署名と位置付け、捕獲されたノネコの譲渡希望には手を上げる個人・団体が少ないことを披露した。

 ノラネコを捕まえて不妊手術し放すTNR事業の限界や、小笠原の取り組みとは規模や背景が違うことなども紹介。伊藤院長は、「ガイドは島の模範となり、島を紹介してくれる大切な顔の存在。しっかりと意識を持ち、旅行客などにノネコ対策や適正飼養など話してもらいたい」と締めくくった。

 千葉保護官は、「奄美群島国立公園について」と題してスライド資料で説明。国立公園の保護と利用や、奄美が目指す「生態系管理型」、「環境文化型」にふれ、地種区分で異なる保護規制の内容を解説した。

 よくある質問として、「国立公園内は立ち入り禁止か」「海で貝や魚を捕れないのか」など例示。関係法令として鳥獣保護管理法や文化財保護法など紹介し、法律や条例で捕獲採取などが禁止されている指定希少野生動植物種のリストを披露した。

 喜島会長は、「ノネコなど山でよく見かけるが、どう対策するかを直接聞いていない。現状を知るために研修会を企画。ガイドも意識を持って条例や国立公園の規制などを理解し、観光客などにしっかり説明できるように取り組みたい」と話した。