秋名アラセツ行事「ショチョガマ」

秋名アラセツ行事「ショチョガマ」

ショチョガマに乗った男衆が声を掛け合い揺すり倒した

約100人乗って揺り倒す

 龍郷町秋名・幾里集落のアラセツ行事が11日、同集落であった。行事の一つ「ショチョガマ」は同日早朝、集落内の山の中腹であり大勢の見物客が訪れた。男たちの乗った片屋根が倒された瞬間には、大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 秋名アラセツ行事は五穀豊穣に感謝し、翌年の豊作を祈願する同集落の伝統行事。旧暦8月の初丙=はつひのえ=の早朝に山中で「ショチョガマ」を、夕方に海岸で「平瀬マンカイ」を行う。その歴史は琉球王朝が奄美群島を統治していた時代(13~17世紀)に遡るという。

 ショチョガマは、集落の田ぶくろ(水田)を見下ろす山の中腹に建てられたわらぶきの片屋根のこと。片屋根に乗った男衆が夜明けとともにこれを揺すり倒して豊作を祈る。

 今年は約100人の男性が集落内外から参加。チヂン(太鼓)と唄で豊作を祈り、日の出ごろには「ヨラ・メラ」の大きな掛け声とともに、屋根を足で何度も揺さぶった。繰り返すうちにショチョガマは傾き、午前6時半ごろには大きな音を立て北側に倒れた。

 前日の雨によるぬかるみが残っていたものの、集落とショチョガマを結ぶ道にはあふれんばかりの見物客が詰め掛けた。秋名アラセツ行事保存会の窪田圭喜会長(76)は「毎年、集落の古老が豊作と伝える南側に倒そうとしている。今年北に倒れたのは神様の仕業か。文献には、どちらでも豊作になると書いているので、それを信じるしかない」と話した。

 神奈川県から卒業論文の研究で同集落を訪れ、今回初めてショチョガマに乗った芝浦工業大学4年生の斎藤嘉克さん(22)は、「倒れたときの達成感が最高だった。思った以上に集落の若い人たちに活気があり、住みたいと感じたぐらい」と話した。