中世期の人骨1体検出

中世期の人骨1体検出

うつ伏せ状態で発見された成人男性の人骨
埋葬人骨の現地公開

宇検村屋鈍遺跡 成人男性、うつ伏せ埋葬
鹿女短・竹中教授ら調査
住民対象に現地公開

鹿児島女子短期大学の竹中正巳教授などの調査チームは15日、宇検村屋鈍の屋鈍遺跡で住民対象の現地公開を行った。2016年の調査で発掘できなかった地点を対象に、9日から19日までの予定で発掘調査。15日までに成人男性1体を埋葬した遺構を検出し、住民らに人骨の埋葬状況や特徴など説明した。奄美大島南部では発見例の少ない中世期の人骨と推察され、喜界島の城久遺跡群の資料などとの比較研究が期待される。

調査現場は、屋鈍集落の公民館西側の聖地とされていた空き地。2年前の調査では、対象地の東側を中心にL字型の試掘坑(トレンチ)から男女4体の中世のものとみられる人骨を発見していた。
 調査チームは竹中教授を中心に、鹿児島国際大学の大西智和教授、同大博物館の鐘ケ江賢二学芸員と学生を合わせて5人。同村教育委員会の渡聡子学芸員なども、現地公開のサポートを行った。

今回の調査は、前回調査できなかった西側に人骨は出土するかどうかや、奄美大島南部では発見例の少ない人骨資料を得る目的で実施。調査期間前半は人骨を発見できなかったが、東側の地点で前回発掘しなかった樹木の根の近くを約1・5㍍×約2・5㍍のトレンチを掘ったところ今回の発見になったという。

この日夕方の現地公開には、住民約20人が参加。墓の時期は同地層から中国の龍泉窯で焼かれた青磁や徳之島産のカムィヤキの破片が出土していることから中世期(鎌倉~室町時代、約800~約500年前)と推察。発見された人骨について竹中教授は、「骨盤の形から成人男性と思われる。歯がすり減っていないので20~30代ぐらいの年齢ではないか。膝を強く曲げた屈葬の状態。股関節が変形していて、生前は骨折して足を引いていたかもしれない」「顔は海の方を向いているのは前回と共通するが、うつ伏せで埋葬されている例は奄美では珍しい」などと語った。

現地公開に参加した崎初夫区長(66)は、「村の端の集落で、このような発見が続き驚いている。今後の研究で何か新しい事が解明されてほしい」と語った。同村の阿室小中学校中学2年の村上史苑君は「昔の人骨が全身残っているのがすごい。村の歴史にも興味が出てきた」と感想を話した。

調査チームは人骨を持ち帰り、詳細な分析を行い病気などの痕跡を調べる予定。