17年度マングース防除

総捕獲数 過去最低の10匹 「全島的な低密度化進む」
思勝・三太郎・名音エリア 捕獲地点の分断化進行

 環境省那覇自然環境事務所は25日、2017年度奄美大島におけるマングース防除事業の実施結果を発表した。わなによる総捕獲数は10匹で、16年度(捕獲総数28匹)よりも約65%減少、過去最低値となった。探索犬およびハンドラーによる捕獲はなかった。同事務所は、これまでの防除事業の成果により「継続的にマングースが減少しており、全島的な低密度化が進んだものと考えられる」としている。

 同省は00年度に奄美大島でのマングース駆除事業を開始。05年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施してきた。

 13年度には、22年度までの10年間で奄美大島からのマングースの完全排除を目標とする「第2期奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」を開始。17年度は42人のマングースバスターズ体制で捕獲作業などを実施。結果によると、17年度防除事業で投入された捕獲努力量は、16年度よりも約3%増加し約276万わな日となった。

 わなによる捕獲数で、マングースの生息密度を「相対的に反映すると考えられる」CPUE(1千わな日あたりのマングース捕獲数)は0・004。16年度(CPUE0・01)よりも約60%減少した。

 地域別にみると、大和村(4匹)と奄美市名瀬地区(4匹)が最も捕獲数が多く、次いで岩崎産業社有林(2匹)となった。龍郷町、宇検村および瀬戸内町では、16年度に引き続き捕獲数はゼロだった。

 重点区域である思勝・三太郎エリアと名音エリアでは、捕獲地点の分断化が進み両エリアとも局所的な排除に向けて大きく前進したという。

 17年度のマングース探索犬による探索延べ日数1255ペア日は、16年度の1088ペア日に比べ増加したが、探索犬による捕獲はなかった。思勝・三太郎エリアと和瀬エリアを中心に広い範囲で探索し、奄美市名瀬小湊や大和村中山で反応があったが、「それ以外の場所で反応はなくマングース分布の断片化および地域的な根絶の達成に向け進捗=しんちょく=した状況と考えられる」と分析する。

 わなや探索犬による防除が困難で、かつマングース以外の種への影響が制限される大和村嶺山地区で科学的防除試験を2回実施。その結果、複数個体のマングースが化学物質を含んだエサを喫食していたことが確認され、科学的防除の効果が期待されるとした。

 在来種の生息に関する報告も。アマミトゲネズミおよびケナガネズミ等の在来種は、「これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されている」。

 同事務所は「17年度までの事業の結果、マングースの全島排除に向け進展した状況にあり、18年度は現在確認されている残存個体群の排除および広域的な防除体制を維持することが重要。引き続きわなによる十分な捕獲圧の確保とマングースの生息状況の把握および効率的な捕獲のための探索犬による対策を実施していく。科学的防除試験の効果検証や在来種のモニタリングを行いながら、効果的なマングース防除方法を検討し、22年度までに奄美大島からの完全排除を目指す」とした。