ダイサギソウ盗掘

ダイサギソウ盗掘

ダイサギソウが掘り起こされたと思われる穴

ダイサギソウの開花状況(西康範さん撮影)

 

「住民の意識向上必要」
掘り返された痕跡確認

 

 奄美大島自然保護協議会(奄美大島5市町村で構成)パトロール員の山下弘さんがこのほど、奄美大島の山地で絶滅危惧種ダイサギソウが掘り返された痕跡を確認した。世界自然遺産登録を目指す中で、水を差すような行為の発覚に関係者は落胆を見せている。

 ダイサギソウは、千葉県以西~九州、奄美大島、徳之島にかけて山地の日当たりの良い林縁に生える地生ラン。美しい白色花をシラサギの飛ぶ姿に見立てて、和名ダイサギソウがつけられた。

 草地開発、園芸採取などで激減して、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類に指定されている。

 また奄美大島の5市町村が定める希少野生動植物の保護に関する条例では、指定する動物22種、植物35種の捕獲・採取などを禁止。ダイサギソウも含まれていて、違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。

 山下さんによると、盗掘の痕跡を見つけたのは今月24日。同日パトロールで現地を訪れた時に、ダイサギソウが掘り返され球根が持ち去られている箇所を10カ所ほど確認。「21日に巡回した時には、異常は見られなかったので土日の間に被害に遭ったのでないか」としている。

 現場は奄美大島で最大の群生地で、2015年10月にも大量の盗掘が発生。開花期になると、転売や観賞などの目的で盗掘されることも。「今回は球根が持ち去られているので、園芸趣味の人かもしれない」。

 山下さんは止まない盗掘に、「奄美の宝ともいえる植物。守られなければならないが、住民の認識が足りていないのだろう。住民の意識向上やパトロール強化が必要かもしれない」と語った。