秘蔵・垂涎の作品一堂に

秘蔵・垂涎の作品一堂に

田中一村110年特別企画展の最終展示となる第Ⅲ期が始まった

田中一村展 生誕110周年・第Ⅲ期展示始まる

 孤高の画家・田中一村の特別企画展の第Ⅲ期「生誕110年 奄美に魅せられた日本画家・田中一村展」が9月29日から、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で始まっている。第Ⅲ期では、奄美時代のゆかりの作品44点を含む115点を最大規模に展示。一村が生涯最期を飾る画題の地に選んだ奄美時代の作品を中心に、その画業や功績を振り返る。

 同展は、奄美で独自の世界を築いた田中一村の「生誕110周年」を記念し、今年3月から全Ⅲ期に渡り開くもの。最終展示となるⅢ期は、東京・千葉・奄美時代で区分し、部屋ごとに展示した。

 同館・前野耕一学芸専門員は「近年では最大規模の展示で、今後もこの規模はなかなか見ることができない」と話し、「ぜひこの機会に足を運んで、その足跡を見比べてほしい」と来場を呼び掛けた。

 作品は、今年世界に羽ばたいたフランス・パリ展示の19作品を凱旋展示。人気の「初夏の海に赤翡翠=あかしょうびん=」など、奄美お馴染みの作品もずらりと並んでいる。

 このほか、3㍍を超す四曲屏風の紅・白梅図など、大型作品も期間だけの見所の一つ。一村がこだわり続けた奄美19年間の画業を中心に、秘蔵・垂涎の作品が一堂に楽しめる。

 福岡から展覧会のために来島したという50歳代夫婦は「実際に本物を見ると細かく描かれており、すごいの一言。(点数も多く)見応えがあり、わざわざ来たかいがあった」と喜んだ。

 展示期間は、来年1月15日まで。期間中は12月9日に長谷川祐子氏×宮崎緑館長の対談、学芸員による月1回のギャラリートークなども予定している。