畜産や漁業に台風影響広がる

畜産や漁業に台風影響広がる

喜界島では子牛育成用飼料が不足し始めた

喜界島 子牛飼料入荷せず、JA「在庫ほぼなし」
漁協、夏から不出漁続き

台風24号による被害の波紋が広がっている。畜産が盛んな喜界島で子牛用の飼料が足りていないことが5日、わかった。9月末からフェリーの欠航が続き、搬入が予定されていた10月4日も台風25号で欠航。1週間以上、島内の畜産農家に飼料が十分に行きわたらない状態だ。JAあまみ喜界事業本部によると「在庫はほぼなし」。子牛の育成への影響が懸念されている。

同島内の母牛は約1500頭、子牛の年間出荷量は1千頭を見込む。約8カ月間育成しセリに出す子牛の飼育時のえさは濃厚飼料と粗飼料(牧草)を混ぜるが、多くの畜産農家がJAを通じて購入する濃厚飼料の在庫は最大70㌧(20㌔袋で3500袋分)の備蓄が残りわずかだという。

濃厚飼料や牧草のストックがいまのところ足りている畜産農家もみられるが、直近のセリ(隔月開催)は11月11日を予定。供給面が不安定な状況に関係者は不安を隠せない。

JAによると、代替品や割り当て調整などで緊急的な対応も検討。その一方、台風で欠航が続いているため入港品目は食料品や生活物資が優先されており、「飼料が入荷する見通しはいまのところ立っていない」(JA担当者)としている。

喜界町伊実久の「グローリー牧場」を経営する栄常光=つねてる=さんは母牛約30頭、子牛約40頭を飼育する。台風で牛舎施設が屋根の破損などの被害を受け、近年例のない今回の甚大な被害に、「飼料は確保していたので当面は大丈夫だが、環境が変化すると牛はストレスを感じる。セリも近く、品質の維持管理に出来る限り手を尽くしたい」と語った。

喜界島漁協(住岡秀樹組合長、正・准組合員144人)は9月25日以降、不出漁。同町湾の漁港港内では、いまも漁船がロープで係留されている状態だ。

同漁協によるとこの時期は、瀬物の一本釣りが中心で、主にハマダイ(ヂビキ)、ホタ(アオダイ)などが揚がるという。今後の出漁見通しは波が落ち着く9日以降と見られているが、関係者は「8月から満足に出漁できていない」と声を落とした。