キビ「塩害」追打ちか

キビ「塩害」追打ちか

台風24号で〝すすき野原〟状と化したサトウキビ。台風25号では「塩害」追い打ち懸念が=5日午後、伊仙町中部地区

台風25号被害 徳之島地区
倒伏・折損より深刻

【徳之島】徳之島地区の台風24号直撃による農産物被害関係では、基幹作物サトウキビの倒伏・折損など被害率が約18・85%(約3万㌧減)と深刻化した。ところが4、5日にかけて相次ぎ接近通過した台風25号では、伊仙町―天城町の海岸部のキビほ場を中心に、より深刻な塩害の追い打ち懸念が広がっている。

徳之島さとうきび生産対策本部や南西糖業㈱徳之島事業本部によると、台風24号(最大瞬間風速51・4㍍=9月29日午後6時20分徳之島空港、同64㍍=30日午前2時徳之島地区消防組合天城分遣所)では、キビの倒伏・葉部損傷・折損被害が深刻化した。

減収見込みは約3万804㌧(約6億7768万円)、全生産見込み量約16万3402㌧のじつに18・85%。被害率は県内の他産地(沖永良部島12%、種子島10・4%、与論島10%、奄美大島9%、喜界島7%)で最悪を見込む。

そこに相次いだ台風25号(最大瞬間風速26・7㍍=5日午前1時46分徳之島空港)。伊仙町の東部・中部・西部―天城町南部などにかけた海岸線には、南東―南―南西からの強風・暴風とともに高さ10㍍以上の高波が終日押し寄せた。

その一方で、5日午前0時―午後7時にかけた降水量は▽天城町(徳之島空港)で計15㍉▽伊仙町面縄はさらに少なく計5㍉(いずれも気象庁アメダス観測)―と〝風台風〟状態。24号の暴風による深刻なダメージを受けて痛々しい〝すすき野原〟状と化したキビほ場には、追い打ちとなる潮風が容赦なくたたきつけた。

南西糖業㈱徳之島事業本部(原料統括課)は「(塩害の度合いは)台風通過1、2日後の状況を見ないと何とも言えないが、南東―南西にかけた暴風と強風で、伊仙町―天城町の海岸線が影響を受けそう」。塩害の影響としては、「生育が停滞して登熟にも悪影響を及ぼす。倒伏や折損被害よりも深刻。側芽が発生するため、来年の春植え種苗の確保に影響が及ぶことも」と懸念する。