「奄美パパイア」被害率95%

壊滅に近い「被害率95%」に深刻化している「奄美パパイア」=9日、徳之島町亀津の園

徳之島 相次ぐ台風被害、産地化に〝水〟

 【徳之島】相次ぐ台風24号、25号は住居など建造物や農作物、漁業関係など多方面に深刻な爪痕を残した。徳之島地区の果樹・園芸関係では、県やJAグループ、国内スーパー大手と提携で産地化を進め5年目の「奄美パパイア」の被害率が壊滅に近い約95%。タンカンの落果やマンゴー樹勢への影響なども懸念されている。

 JAあまみ徳之島事業本部園芸課によると、台風24号関連の共販計画からみた被害(面積・減収量・被害率・額)は▽パパイア約10㌶、約10㌧、約95%、約1550万円▽タンカン約5㌶、約6㌧、約10%、約210万円▽ドラゴンフルーツ約10㌶、約300㌔、約5%、約15%、15万円▽マンゴー約10㌶、約2㌧、約5%、約700万円▽種生姜約20㌃、約4㌧、約30%、約120万円―などがある。

 特にパパイアは暴風で一部折損・倒伏も伴い、全体的に茎だけになって成長が止まった状態に。2016年度の共販実績(342・31㌧、約5134万7千円)から17年度は台風被害で182㌧に大幅減産。防風やウイルス病対策が大きな課題となったまま18年度は、相次ぐ台風24、25号の追い打ちでわずか30~40㌧の共販見込みに下方修正を余儀なくされた。

 ㈱ダイエー(本社・東京都)の「野菜型パパイア」商品開発の提示(13年12月)によって、JA県経済連や県などが連携して「奄美パパイア」産地化計画を策定(14年度)。奄美パパイア産地育成推進協議会(徳之島3町会員約2百人)で産地化を進めている。

 栽培4年目の徳之島町の生産者男性(63)は「失敗農家の原因のほとんどは台風かウイルス病。4月に植え替えて半年もしないうちに約1㌧を出荷、その最盛期に台風にやられた。葉が出るまで年内は収穫ができないと思う。ダイエーさんが力を入れているのに壊滅させるわけにはいかない」と不退転の闘志を示した。

 ほかタンカンでは落果被害に加え、カミキリムシ被害のダメージを受けていた老木樹の深刻な折損・倒木被害も目立つ。

 畜舎や倉庫など建造物被害の後片付けにも追われる農家たちの姿に、JAあまみ徳之島事業本部園芸課は「21日ごろからはバレイショの植え付け作業も始まる。心身の疲れが生産意欲に影響しないかが心配」(叶貴嘉課長)と懸念する。