台風災害地視察

台風被害を受けたサトウキビの状況を視察する三反園知事(写真は奄美市笠利町内)

「全面的支援が必要」
三反園知事、奄美大島入り サトウキビ畑、牛舎など農業被害を確認

 台風24号の被害状況を視察するため、三反園訓県知事は12日、奄美大島入りした。基幹産業のサトウキビ畑のほか、畜舎やビニールハウスの損壊など農業被害が大きかった奄美市笠利地区を巡回し、所管する県大島支庁や自治体の職員から状況を聞き取り。サトウキビの折損や倒伏を確認した三反園知事は「相当な被害発生を実感しており、今後の事後対策を万全にしたい」と述べ、各種支援の検討を示唆した。

 三反園知事の24号による被害地視察は、種子島(8日入り)に続き2回目。県は今回の台風被害は全体で約44億円。その中でサトウキビは13億円と試算している。この日は、日帰りで同市笠利町内の農業被害を重点に訪問した。

 同町宇宿のサトウキビ畑では、市職員が台風19・24号による累積被害減収率を19%、被害量4㌧超と説明。特に24号接近による強風で曲がったサトウキビを示しながら、生産量と品質の低下を懸念した。

 肉用牛を生産する同町節田の郡農園(郡広俊代表)では、従業員の郡和樹さん(26)が畜舎の屋根が飛ばされ半壊したほか、一部損壊など被害の大きさを挙げ、「島内では補修部材や人手(施工業者)が足りなくなっており、復旧には時間がかかる。環境変化による飼育牛のストレスもあるため早急な対策が必要」と窮状を訴えた。

 三反園知事はサトウキビについて、「昨年は糖度不足、不作から、今年は成長が順調で期待が大きかっただけに、県としても全面的支援が必要と考える」と総括。今後について「国に対し、対策にかかる予算措置を働きかけたい。市町村や県議会、JAと連携して対応を進める」と述べた。

 今後はサトウキビ増産基金事業を発動させ、農家支援を進める考え。畜舎、ハウス被害については共済加入状況を確認し、対応を検討していく方針だ。

 なお奄美群島の他離島の視察はいまのところ未定。