山中にひっそり可憐に

西康範さんが撮影した「アマミイケマ」

「アマミイケマ」咲く
台風影響で例年より少なめに

 ○…今月初旬にかけて相次いで奄美地方に接近した二つの台風により、奄美群島内各地で暴風が吹いた。野山の植物も秋を迎える支度どころではなかったことだろう。

 〇…台風25号通過後の6日、奄美市名瀬の西康範さんは、奄美大島南部の山中にひっそりと咲く奄美大島固有種「アマミイケマ」の姿を写真に収めた。○…西さんは「台風の風で飛ばされてしまったのか、花が少なかった。例年ならそこら中にあるのに、今年はここだけ」と撮影時のことをふり返った。

 ○…『奄美の絶滅危惧植物』(山下弘さん著)によると、同種は山地の林縁に生えるつる性の多年草本。奄美大島、徳之島、沖永良部島にのみ分布する。卵円形の葉の葉は長さ5~11㌢。淡い黄緑色の花は径約8㍉と小さく可憐だ。イケマの名はアイヌ語の「カムイ・ケマ(神の足)」が由来という説もあるという。

 ○…同種は環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。同書では森林伐採や道路工事などが絶滅危惧の主要因として挙げられている。