「種下ろし」シーズンスタート

集落内の各所を巡り、歌や踊りで盛り上がった

集落内巡り、歌い踊り
龍郷町安木屋場

 歌い踊りながら集落内を練り歩き、翌年の豊作を願う龍郷町の「種下ろし」のシーズンが19日、安木屋場集落(阿世知正博区長)を皮切りにスタートした。地域住民や出身者だけではなく、観光客らも大勢参加し、集落内各所で盛り上がる様子が見られた。

 種下ろしは、一年間の締めくくりとして各家庭を踊り清め、来年の豊作や家の繁栄を祈る行事。かつては各家々を回り、夜通し踊り明かしていたという。例年10月下旬から11月上旬に各集落で行われている。今年は19、20日にあった安木屋場集落に始まり、多くの集落で10月26、27日に行われる予定。

 19日の安木屋場集落では、午後7時半に同集落公民館に集まった老若男女がチヂン(太鼓)を打ち鳴らしながら出発。法被や浴衣を着て集落内5カ所を「ヤーマワリ」(家回り)。各会場で六調や八月踊りを楽しんだ。「花」(寄付金)の披露もあり、「出てこい出てこい」の掛け声で寄付者を呼び、輪の中に誘い入れるなどして盛り上がった。

 静岡県から観光で訪れていた酒井知里さん(54)も、口紅で顔に模様を描かれた姿で輪に入り、踊りを楽しんだ。酒井さんは「奄美には何度も来ているが、種下ろしは初めて。踊りを通してすぐに集落に溶け込めるのがいい。本当に楽しい」と笑顔だった。

 また、会場となった家の岩切博久さん(67)は「この日のために兄弟6人が約10年ぶりに集まった。家に来てもらうのは面白い」と話した。