森田さん(名瀬)「組子壁面照明」出展

森田さんが製作し、今回フランスでの展示会に出品される「組子壁面照明」=提供写真=

組子職人の森田さん

日本誇る木工技術発信へ
9日からフランスで工芸見本市

 奄美市名瀬の組子職人、森田良平さん(41)=(有)森田建具=の作品が、9日から4日間、フランス・ストラスブールで開催の工芸見本市「Salon Raisonance」(FREMAA主催)に出展する国内作品の一つにこのほど選ばれた。全国建具展示会、3年連続の受賞歴などを持つ森田さんにとって、今回が初めての海外出展。「日本伝統の木工技術がどのように評価してもらえるのか楽しみ」と期待を膨らませている。

 日本産木材を使用したデザイン性の高い家具、建具等の輸出促進を目指す一般社団法人木材輸出振興協会が、全国から出展参加者を募集し、審査を経て13人の作品を選出。鹿児島県内では、森田さんの作品が唯一の出展となる。

 森田さんが取り組んでいる「組子細工」は、小さく切り出した木片を釘など使わずに組み合わせ、様々な模様を描く、日本の伝統工芸。実家の家業=(有)森田建具店=に入るため、専門学校で基礎から学んだ。そこで組子細工に出会い魅了されたという。

 仕事の合間などに製作に励んでいたが、2009年の全国建具展示会の見学が一つの転機に。「たくさんの作品から大きな衝撃を受け、本腰を入れて取り組むようになった」(森田さん)。翌年の同展示会では、全国建具組合連合会会長賞を受賞した。

 それから3年連続で受賞。15年には県知事表彰(優秀技能者表彰)を受賞するなど、これまで培ってきた技術は高い評価を受けている。

 出展される作品は「組子壁面照明」。幅1㍍7㌢、高さ75㌢。内部に厚さ1㌢ほどのLEDテープライトが設置されていて、様々な模様が施された作品を映し出すとともに、前方を照らす。

 作品のテーマについて森田さんは、「組子細工を構成する要素である空間要素である空間、原始的なパターン、基本的なパターン、複雑なパターンに、オリジナルのパターンも取り入れ、組子の過去、現在、未来を表現した」。製作に約1カ月をかけたという。

 展示会は、今年日仏友好160周年を記念し、日本文化を紹介する「ジャポニズム2018」(18年7月~19年2月)の公式企画。同木材輸出振興協会は国産木材を使った木製家具、建具等の宣伝支援を行い、ヨーロッパでの認知度向上、販売促進を図りたいとしている。

 初めての海外への出展を前に、森田さんは「(組子細工を)インスタなどで見た外国の人の食いつきは良い。見た人の反応が楽しみ。実演なども予定するが、日本の伝統技術が認められ、受注にもつながれば」と語った。