「さとうきび・甘蔗糖関係検討会」

国、鹿児島・沖縄両県の関係者が一堂に会した2018年度「さとうきび・甘蔗糖関係検討会」(1日目)=6日、天城町防災センター

天城町で 持続的・安定的生産へ
鹿児島・沖縄両県が一堂に
低収要因で情報・課題共有

 【徳之島】国や鹿児島、沖縄両県の関係機関・団体・生産者代表などによる2018年度「さとうきび・甘蔗糖検討会」(独立行政法人・農畜産業振興機構主催)が6日、天城町防災センターで始まった。「持続的・安定的なさとうきび生産への取り組み」をテーマに両県行政や生産者代表の事例発表を基にパネル討議。鹿児島大学と琉球大学の低収要因の研究報告でも情報・課題を共有し合った。

 南西諸島の基幹作物の一つ、サトウキビの生産に関する課題を鹿児島、沖縄両県関係者が一丸となって検討・解決することが目的。徳之島での開催は14年度の徳之島町会場以来4年ぶり。国や両県・各市町村、JA、製糖会社、生産者代表など約300人が一堂に会した。

 農畜産業振興機構の佐藤一雄理事長は冒頭、地元に対し台風24・25号被害に見舞いの意を表明し、産官学連携による同検討会の意義も強調。同機構を取り巻く情勢では、TPP協定に伴う糖価調整法の改正で輸入加糖調製品から調整金を徴収する新業務(12月30日発効)が加わることも報告。「今後も、キビ生産や関連産業の健全な発展のため、交付金業務や情報収集業務をしっかりと執行したい」とも述べた。

 農水省政策統括監付地域作物課の森下興課長は「台風対策にはセーフティーネット基金などを通じて支援、一刻も早い生産回復を。自然災害への対処・働き方改革・低糖度対策が課題」。今年春~夏の「さとうきびキャラバン」の意見交換では共通課題を認識。砂糖消費・需要を促す「ありが糖」運動への協力も要請した。

 議事では、同省同課の新井秀朗課長補佐が「砂糖をめぐる現状と課題について」報告。今回初の生産者報告・パネル討議には、▽鹿児島県=指宿浩さん(県農政部)、若山秀也さん(徳之島生産者代表)、川内田行博さん(種子島同)▽沖縄県=喜納幹雄さん(県農林水産部)、比嘉正行さん(沖縄本島生産者代表)、山城由久さん(石垣島同)の6人が登壇した。

 若山さん(43)=天城町三京=は、キビと畜産と組み合わせた複合経営で常時雇用1人を実現。課題に「人材の確保や機械化による作業の効率化、それを実現する収入の安定化」を挙げ、「子どもたちが憧れ、継げる農業経営を目指す」と力強く紹介。

 川内田さん(35)=南種子町=は建設業からの農業参入。本場のタイ国にも大型機械のノウハウを求めるなど大胆な機械化一貫体系化と、作型研究による規模拡大、利益追求農業の取り組みを紹介した。

 引き続き琉球大農学部の川満芳信教授と鹿児島大大学院の寶川拓生氏が演題「品種の経年評価を通したサトウキビの長期的低収要因の検証」で講演
。この後、島内視察も行った。

 2日目・7日は、徳之島ダムを現地視察後、サトウキビに関する両県の4機関の研究成果発表(会場同)を予定している。