少雨傾向で登熟不安視

10月の少雨で登熟への影響が心配される今期のサトウキビ(9日、奄美市笠利町)

製糖会社 生育調査、茎長に影響
奄美大島北部サトウキビ

 9月に奄美地方に接近した台風24号の影響で減収予想されている今期産のサトウキビ。量だけでなく、品質面にも影響が出そうだ。奄美大島北部では10月少雨傾向となり、製糖会社では今後の登熟に懸念を見せている。「恵みの雨」と葉の回復に期待して、製糖会社は今後予定しているブリックスの調査の結果を見極める方針だ。

 奄美市笠利町の富国製糖㈱奄美事業所(勢幸一常務取締役事業所長)は減収について、台風19号による減収を見込んだ2万2355㌧から、さらに約9%の減収を予想。同事業所観測によると、10月に1㍉以上の降水を確認したのは9日間で累計は81・7㍉。10月累計が100㍉を下回ったのは、2015年10月に記録した87・8㍉以来になるという。

 名瀬測候所の笠利の観測地では、10月に降雨が確認されたのは8日間で合計22㍉(平年差マイナス164・4㍉)。こちらも10月の少雨が観測されていて、11月に入っても8日までの降水は5㍉となっている。

 勢事業所長は「(10月以降は)サトウキビが糖を蓄える登熟期に向けた大事な時期。先月は雨が少なかったので、これから雨が降りサトウキビの葉が回復して光合成で糖の上昇を期待したい」「少雨も心配だが、これまでの台風でサトウキビの根が傷んだり、浮いたりして土中の養分を吸い上げる働きが弱まっている。乱倒伏した畑では、ハーベスタ収穫の困難も予想される」などと語った。

 6月から毎月実施しているサトウキビの生育調査の最終調査(11月1日)では、茎長が平均で前年比マイナス23・2㌢、茎径(太さ)は同マイナス0・1㌢、10㌃あたりの茎数は、同プラス3本。勢事業所長は「台風で減収予想している状況に先月の少雨。雨が降って登熟がしっかり進んでもらいたい」。

 同事業所は今月15日予定のブリックスの調査で現段階の糖度を把握して、収穫期の見通しを立てるとしている。