奄美病院と災害時一時避難協定

奄美病院と災害時一時避難協定

災害時一時避難場所」に関する協定に調印した泉会長(右)と杉本名誉院長(左)

 

住民組織で市内初
名瀬浜里自治会

 

 奄美市名瀬の名瀬浜里町自治会(泉直樹会長)は21日、同市名瀬の(公財)慈愛会奄美病院と「災害時一時避難場所」に関する協定を締結した。同日、同病院内で調印式があり、泉会長と杉本東一名誉院長(管理者)が協定について内容を確認し、今後の連携を約束した。同市危機管理室によると、住民組織による同協定の調印は今回が初という。

 協定は地震や風水害が発生した場合などに、住民を同病院に一時的に無償で避難させるもの。同地区内の避難所が開設された後、住民は移動する。今後、防災訓練を協力して実施することも協定に組み込まれた。

 泉会長によると、これまで同自治会の一時避難場所は、大島郡医師会病院と介護老人保健施設「虹の丘」(いずれも同市名瀬小宿)の2施設のみ。2017年8月に実施された同市防災訓練の際に住民が歩いたところ、若者でも往復45分程度の時間がかかり、一時避難場所の見直しを求める要望などが住民から上がっていた。

 こうした現状を受け、同会の勝村克彦事務局長が市危機管理室に相談。市から自治会単位での交渉の許可を得て、同病院に依頼し、協定が実現した。今年10月の市防災訓練では、調印に先立って同病院の研修センターに住民72人が避難。地区内に施設があるため、全住民が数分から10分程度で避難を完了させたという。

 同病院の本館は、2~4階が入院施設となっており、住民の受け入れが可能。また2階建ての研修センターでの受け入れも可能で、500人以上が一時避難できるという。杉本名誉院長は「奄美病院は来年で創立60周年にもなるが、まだ住民との距離がある。地域に開かれた病院として、災害以外でも交流していきたい」と話した。