奄美出身者が唄で鼓舞

映画のポスターを前に笑顔の榮百々代さん=居酒屋「奄美沖縄料理・美ら島真心」で


榮百々代さんの劇中歌を満足そうに語る、武田倫和監督

映画「破天荒ボクサー」
独特のリズム感と歌声で

 【東京】島唄、三味線のリズムがボクシングに青春を懸ける選手を後押しする。映画「破天荒ボクサー」の劇中歌(主題歌)を奄美出身の榮百々代さんが作曲と唄を担当した。映画は大阪、名古屋で上映され、独特のリズム感と歌声が登場人物を鼓舞するように流れている。今後、東京での音楽祭でも上映され、その後の封切りに合わせて、百々代さんの唄声がスクリーンで広がっていく。

 映画「破天荒ボクサー」は、大阪帝拳に所属していたボクサー・山口賢一さんが主人公。山口さんは、11連勝を果たすもなかなかタイトルマッチを組んでもらえず、業を煮やしJBC(日本ボクシング協会)に引退届を提出、海外を拠点に自らマッチメークしてリングに立つことに。

 近年何かと取り沙汰される、JBCの内側に鋭く切り込んだ社会派ドキュメンタリー。その武田倫和監督に抜てきされたのが、百々代さんだ。

 大阪市都島区で百々代さんが代表で切り盛りをする、居酒屋「奄美沖縄料理・美ら島真心」の相談役、牧健二さんが、大阪天神ジムフィットネス&ボクシングの総括後援会会長を務めている縁などから、百々代さんに白羽の矢が立った。実は、百々代さんも健康のため同ジムで汗を流している。

 レコーディングに臨んだ百々代さんは、「三味線、島唄を基にサムライ感を出すことを心掛けました。満足いく出来でしたね」と完成当時を振り返った。武田監督は「奄美特有の音感など、とても気に入って採用した。おかげさまで百々代さんの主題歌『世界はすぐそこに』は、大変好評」と映画を彩る曲に満点の評価を下した。

 映画は、12月1日、映画の日の午後7時より東京ドキュメンタリー映画祭2018の中で、新宿K‘s cinemaで東京初上映される。東京ドキュメンタリー映画祭の後東京での劇場公開を予定しており、「その時までに販売用CDを製作する予定」(武田監督)。奄美の風土で生まれた渾身の曲が、破天荒なボクサーのリング人生を応援する。