瀬戸内町で観光セミナー

瀬戸内町で観光セミナー

クルーズ観光の課題について語った大分県佐伯市観光協会の前嶋業務執行理事

地域が持つ魅力への意識を
体験型、着地型観光考察
クルーズ観光の課題も

  環境や観光客の受け入れなど観光について考える「持続可能な観光セミナー」が30日、瀬戸内町古仁屋の「きゅら島交流館」であった。“持続可能な観光”をテーマに講演やパネルディスカッションを開き、地域経済へ及ぼす影響や将来の方向性について意見交換。体験型、着地型観光の在り方などを考えた。

 奄美国際ネットワーク(杉岡秋美代表)と同町観光関係者でつくる「せとうちんちゅネットワーク協議会」(高野良裕・奄美有機農業研究会代表)の主催。政府の「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進を背景に、国内外からの観光動態、地域の受け入れ需要などを踏まえ、観光について考えようと開かれた。

 この日は奄美大島島内の通訳案内士やエコツアーガイド、自治体職員、観光事業者など約50人が参加した。

 NPO法人日本エコツーリズムセンターの高山傑・共同代表理事はツーリズム(体験型観光)の世界的な観光の動向に触れたほか、訪れた観光客の施設やスポットの集中利用による環境への悪影響などインバウンド対策も急務とした。

 国連観光機関で持続可能な観光プログラム諮問委員を務める高山さんは「形態、目的ごとに様々な観光像がある」と述べ、奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録(最短2020年夏)を前に、「地域が持つ魅力をどのように守っているか、胸を張って言えるかが問われている」と呼び掛けた。

 大分県佐伯市観光協会執行理事の前嶋了二さんは「クルーズ観光の最新課題と持続可能な地域経営」を講話。国土交通省の調査結果を受け、インバウンド(着地型観光)を見据えた瀬戸内町西古見地区の観光クルーズ構想に対し、地域経済の大きな波及をメリットとした半面、環境影響や長期目線でのブランド維持の難しさを挙げた。

 西古見地区のクルーズ船受け入れに伴う、その後の開発を「ビーチ中心の滞在型リゾート施設」と位置付け。関連工事の車両通行のための通路拡張、施設運営のための外国人労働者の流入などの問題点を指摘した上で、登録後の観光利用のコントロールや関連施設の運営基準の設定などを前嶋さんは提案。「島内の許容力を踏まえ、現実的な対応を考えていくべき」などと訴えた。

 奄美群島持続的観光マスタープランについて、県奄美世界自然遺産登録推進室の鶴田晃紀室長補佐は、奄美大島と徳之島の状況を例にゾーンごとの管理を強調。県として、▽施設整備▽利用の適正化▽世界自然遺産奄美トレイル―の3テーマを推進していく方針を説明した。

 パネルディスカッションでは、奄美大島島内の観光ガイドや関係団体の担当者が、現在抱えている課題について話し合った。

 せとうちんちゅネットの保宜夫副代表は「世界自然遺産登録の実現に向け、あらためて住民意識の向上、受け入れ態勢の整備が求められていることを認識してもらえたら」と今回開催したセミナーの意義を語った。