奄振関係10%増234億1500万円

奄振関係10%増234億1500万円

 

交付金2%増 新取組みで交付率引上げ
19年度当初予算案

 

 政府は21日、2019年度当初予算案を閣議決定した。18年度で期限切れを迎える中、法延長を前提とした奄美群島振興開発関係概算決定額(国費ベース)は公共・非公共を合わせて234億1500万円で、10・3%増(18年度当初比)。奄美群島振興交付金を含む非公共事業は、2%増(同)の24億5200万円。交付金は、2%増(同)の24億4400万円を計上した。

 非公共事業の交付金では、奄美群島の自立的発展、住民の生活の安定および福祉向上、定住促進を図るため、奄美群島の特性に応じた産業の振興や生活の利便性向上に資する事業を支援。住民の創意工夫を生かした新しい取り組みについては、事業開始から3年間を「特定重点配分対象事業」に位置付け。交付率を10分の5から10分の6に引き上げて、残りの10分の4の地方負担分に対しては、新たに特別交付税が措置される。

 物資の輸送費支援(交付率10分の7)で、奄美群島で製造された黒糖焼酎といった加工品、原材料等を対象品目に追加。群島民の航路・航空路運賃(同10分の6)について、群島外の学校等に在学する群島民に扶養される子息など(準住民)に住民並みの割引を適用するとした取り組み等で、奄振交付金の充実強化が図られる。

 公共事業209億6300万円(18年度当初予算比11%増)では、奄美市や伊仙町で配水施設や浄水施設等の整備を実施する簡易水道事業(補助)に3億6100万円(同52%増)。名瀬港(奄美市)や和泊港(和泊町)などで防波堤整備する港湾整備事業が22億6100万円(同48%増)を計上。奄美空港において航空機の安全運航を確保するための空港整備事業が10億5900万円(同45%増)と増額された。

 防災・安全交付金は、和泊港防潮堤など41億3700万円(同18%増)を計上。農業農村整備では、沖永良部島において安定した水の供給のため地下ダムや用水路整備するほか、喜界島の地下ダムの実施設計などに49億5900万円(同3%減)。

 このほか、奄美群島における製造業等の工業用機械などに係る割増償却制度(所得税・法人税)の2年延長や、法延長を前提にした独立行政法人奄美群島振興開発基金を非課税とする措置の5年延長も決定された。

 自民党政務調査会奄美振興特別委員会の金子万寿夫事務局長は、「法延長を含めた予算編成を勝ち取ることができた」と受け止め。「公共事業・非公共事業とも、18年度当初予算から増額。交付金も4400万円増額されメニューも拡大されたことで、市町村にとって使い勝手の良いものになってきたのでないか」と語った。

 国の一般会計総額は101兆4564億円で、7年連続で過去最大を更新。19年10月の消費増税に伴う臨時対策で、ポイント還元やプレミアム商品券など行う予算は2兆280億円に上る。国債発行額は、32兆6598円(前年度比1兆324億円減)。歳入に占める借金の割合を示す国債依存度は、32・2%と9年連続で下がった。