地元市場の青果物市況

年内は30日まで行われる名瀬中央青果のセリ。野菜は地場産を中心にして賄われており、入荷量が多いため安値で取引されている

野菜安値、かんきつ高値
年越料理用のツワは上昇

 奄美市にある地元市場・名瀬中央青果㈱(森山直樹社長)の青果物市況は、入荷量の増加などから野菜は安値、ポンカンなどかんきつ類は量が少ないため高値となっている。冬場の取り扱いは、地場産の占める割合が半分近くまで上昇する。

 本土での記録的な高温、北海道地震、相次ぐ台風など気象・自然災害は青果物の産地被害をもたらし、全国的に青果物入荷量が減少。本土産地からの移入品に頼る夏~秋にかけて、名瀬中央青果の市況は特に野菜で高値が続いた。

 現在の時期は地場産がかなりの量を賄う。「ハクサイやレタスは地元で生産できず本土産の移入品に頼っているが、キャベツやホウレンソウなどの葉物、ダイコンは地場産で対応できている。笠利町(奄美市)からの入荷が多く、台風被害から回復している。取り扱い割合で地場産が上回る日もある。野菜は全体的に安値で取引されているだけに、小売で購入しやすいのではないか。新鮮な地場野菜を積極的に消費してもらいたい」(中央青果)。

 市況をみると、キャベツはキロ当たり値段が高値時は200円まで上昇することもあったが、現在は半値の100円。ハクサイは70~80円台まで下がっている。冬場は煮物などとして需要があるダイコンも入荷量が多いため上昇していないが、大みそかの「ウァンフネヤセ(豚骨野菜)」として欠かせないツワ(ツバシャ)はキロ千円以上の値をつけている。皮むきが施された加工品としてツワは入荷しており、27日の市況では1400円に。「島の年越し行事でツワは欠かせず、消費しない徳之島からの入荷が目立つ。高値ではあるが、この時期特有のいつもの相場」(同)。

 一方、台風被害により入荷量が例年の4分の1程度と非常に少ないのがポンカン。年末の贈答用として需要があるため、キロ800円の高値が続いた。新品種の「津之輝」も入荷しているものの、入荷量は低調。「かんきつ類は、お歳暮需要がある。12月に入り高値で取引されている。もっと量がほしい」と中央青果の担当者は話した。