「焼酎の勉強、ガンバリます」

焼酎造りを夢見て来島した米国ユタ州出身のイアン・トーマス・バリーさん

町田酒造入社 米国出身・イアンさん
外国人採用で人材色豊かに

 海外からの労働者の受け入れが本格始動し、訪日外国人が増える中、龍郷町の町田酒造㈱(中村安久社長)がこれまでにない多様な価値観や働き方を求め、積極的な人材採用を進めている。今月11日、米国ユタ州出身でユタ大学化学工科卒(微物理学専攻)イアン・トーマス・バリーさん(22)の採用が決まり入社。イアンさんは「焼酎の勉強、ガンバリます」と意気込んでいる。

 イアンさんは、同州ソルトレイク出身で、父母に弟妹の5人家族。学生時代は、主に菌などを研究し、ビールや日本酒の製造はもとより、パンも酵母から作れる腕前。「高度専門職」や被雇用者に与えられる「技術・人文知識・国際業務」による在留資格を得て、日本全国の酒造メーカ数社の面接後、同社に内定した。

 配属は、成分分析や新商品開発などに携わる「製造開発本部研究開発室」。就業経験がないため、当面は日本語や接遇マナー、一通りの業務などを学んでいく。

 きっかけは、「自分の手で焼酎を造りたい」と、夢の実現目指して来島。将来的には、世界と焼酎の橋渡し役、米国での需要拡大などにも貢献したいと話し、イアンさんは、時間が掛かることを承知で「杜氏も学びたい」と夢を広げる。

 総務人事課・竹内聡さんは、イアンさんの就業効果について「他の社員もコミュニケーションのために英語を覚えたりと、社内がにぎやかになった」とし、海外人材の採用については「ゆくゆくは当たり前になること。様々なジャンルの人材が集うことでいい化学反応が起きている」と前向きに答える。

 現在、竹内さんと同じ同町戸口集落在住のイアンさんは、地域の一員としてこれから奄美の文化や魅力も学ぶ。「(将来帰国の際は)自国でも、奄美をPRしたい」とイアンさん。「奄美の皆さんヨロシクお願いします」と、まだ慣れない日本語でアピールした

 中村社長は「イアンの入社により、男性・女性・高齢者・外国人・障がい者といった多様な人材が揃った。それぞれが能力やスキルを発揮することで、グローバルなダイバーシティ人材経営を実現できる。これからも人材育成にますます尽力したい」と話した。