語りかけボランティア養成研修

ボランティア認定希望者や市職員ら約30人が受講した「語りかけボランティア」養成研修会

中国在留邦人について認識深め
高齢化課題「人生の最期心地よく」

 戦後の混乱などが理由で長い間、中国で生活した後、国交正常化後に日本に帰国した中国残留邦人と中国語で会話を交わす「語りかけボランティア」の養成研修会(九州中国帰国者支援・交流センター主催)が18日、奄美市役所であった。ボランティア認定希望者や市職員ら約30人が受講。残留邦人についての知識や認識を深めた。

 同センターは自治体や民間ボランティアと連携・協力し、中国残留邦人の中長期的な支援を行う施設として2004年に開設。高齢となり、介護施設を利用する残留邦人に対し、中国語で会話する「語りかけボランティア」の養成にも取り組んできた。17年度からは施設のある福岡県内で厚生労働省の委託を受け、養成研修会をスタート。18年度からは九州全域へと開催地域を広げた。県内では今回が初開催となる。

 この日の午前中は、同センター介護支援コーディネーターの林田瑛子さんを講師に、残留邦人の歴史や支援策などについて学習。林田さんは残留邦人の高齢化を課題として挙げ、地域社会に溶け込むために中国語での「語りかけボランティア」の重要性に言及。「日本に帰国した方々が、人生の最後のステージで心地よく過ごせる時間を皆さんと作っていきたい」と呼び掛けた。

 午後からは奄美市名瀬地域包括支援センターの渡嘉敷誠さんが登壇し、介護保険制度を解説。その後、大島郡医師会居宅介護支援事業所主任マネージャーの西村みどりさんが高齢者とのコミュニケーションについて講話した。

 永住帰国した中国在留邦人は九州全体で約300世帯存在しており、奄美大島には7世帯9人が存在。同センターの園田眞通所長は「奄美に残留邦人は少ないが、密集して住んでいる地域なので開催した。今回は口コミで多くの人が来てもらえて、在留邦人やセンターの活動内容の周知にもつながった」と話した。

 今回受講した勇都八羊子さん(63)は「困っているなら少しでも役に立ちたい。大変な思いをしたという在留邦人の体験談を視聴し驚き。4年前から中国語を勉強しているが、深い所まで勉強して、今後は派遣されて活動したい」と語った。